2008年10月17日

第58回沖縄県高等学校野球秋季大会を終えて




 先月13日に開幕した第58回沖縄県高等学校野球秋季大会も、 今月11日に決勝戦が行
われ、興南高校の20年ぶり6度目の優勝で幕を閉じました。 前期は沖縄尚学・浦添商業の
甲子園での活躍で大いに沸いた沖縄高校野球界ですが、 今期もまた 多くの素晴らしいチー
ムが揃い、今後に期待を抱かせてくれました。 そこで、 例年に劣らず多くの好勝負が見られ
た今大会を私的に振り返って見たいと思います。


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[興南の1年生左腕・島袋洋奨]


 今大会、20年ぶり6度目の優勝を果たした興南は、 やはり前評判通り総合力で抜きん出
ていました。 中でも 1年生エースの左腕・島袋は 6試合全てに登板して自責点はわずか2。
切れのある直球と変化球、 そして優れた制球力を武器に 防御率0.367と抜群の安定感を
示し、古豪復活の原動力となりました。 投手陣では他にも 1年生左腕の砂川や復活の兆し
を見せた 2年生大型右腕の石川ら、 質量ともに 豪華な布陣を揃えました。 今期の興南は、
島袋を含め スタメンに1年生を6人も起用する若いチームですが、 安慶名・眞榮平・山川ら
素質豊かな選手達は スケールの大きさを感じさせました。 また冨里川・石川らの経験豊か
な2年生の野手陣も 攻守にリーダーシップを発揮して 勢いのあるチームを 引っ張りました。
そして今大会1番に座った1年生の國吉を軸に 機動力と小技を絡めた幅広い攻撃も披露し
て、確実性の高い攻撃力を見せ付けました。大会を通じて比較的ゆとりを持って勝ち抜いた
興南は名実ともに沖縄王者に相応しく、大舞台での戦いが非常に楽しみです。
 準優勝の豊見城南は、 質の高い投手力と積極的な攻撃で決勝まで勝ち上がりました。細
身の右腕エース・呉我は、 制球力抜群のカーブを軸にした 巧みな投球術で 強豪校を翻弄、
豊見城南2度目の九州大会出場に大きく貢献しました。 また大型本格派右腕の赤嶺も威力
のある直球とスライダーで 3回戦では知念相手に7イニング14奪三振の快投を見せ、 決勝
戦でも強打の興南相手にリリーフ登板で無失点の好投を見せました。打線はトップ・佐久川
を始め中軸の山城・上原勇・大城・砂川から下位の上原景に至るまで、全員が鋭いスイング
から強烈な当たりを連発。 切れ目の無い打線は大会を通じて好調で、並み居る好投手達を
粉砕してきました。興南との決勝戦では思わぬ大敗を喫しましたが、投攻守に本来の力を発
揮出来れば九州大会でも期待出来るでしょう。



[豊見城南のエース・呉我春宝]


 浦添工業は運天・比嘉の強力投手陣で、 初の4強進出を果たしました。沖縄ナンバーワン
右腕の呼び声高い運天は、長身からの快速球と切れのあるスライダーを駆使して話題性で
も注目を集めました。才能豊かな大型本格派はドラフト候補としても大きく期待されるだけに、
一層の精進を望みます。 また巨漢の右腕・比嘉は、 重い速球と確かな制球力を有して安定
感では運天を凌駕しました。こちらも将来性に満ちた素質の持ち主で、 今後が非常に楽しみ
です。 打線は俊足・好打のトップ・新里を中心に、少ない好機を確実に得点に結びつける卒
の無い攻撃を展開。 一冬越してスイングに力強さが備われば、 沖縄随一の投手力と相まっ
て今後も優勝争いに絡んで来ると思われます。
 2年ぶりの4強進出となった宮古は、 初戦から3回戦までをコールドで勝ち上がるなど、沖
縄屈指の破壊力を見せ付けました。 中でも3回戦の中部商業戦で2本の本塁打を放った主
砲・川田の打棒は強烈でした。 他にも トップの仲間俊に中軸の元長・親泊・仲間将といった
強打者が揃い、 スイングの強さと打球の速さでは群を抜いていました。 また遊撃手の名手・
伊佐を中心にした堅い守備力に、 巧みな投球術を持つエース・長浜の安定感と、 総合力で
も高いレベルを有していました。 過去の同校の戦力と比べても洗練度の高い今期の宮古は、
今後初の甲子園出場も充分視野に入るでしょう。



[宮古の主砲・川田将平]


 今大会第1シードでの出場となった嘉手納は、1年生バッテリーの活躍が光りました。中で
もエース池原は、 2回戦で7回を11奪三振で完封すると、3回戦では9回を10奪三振。準々
決勝でも優勝した興南を相手に8回まで無失点の好投を見せましたが、 9回裏にサヨナラ負
けを喫しました。 切れのある直球と 変化の大きいスライダーを用いて 打者を翻弄しますが、
タイミングの取り辛いフォームでの投球術も秀逸。また1年生捕手・真謝の絶妙のリードとフ
ットワークも相まって、この強力バッテリーは今後も沖縄球界を沸かせるでしょう。
 2年ぶりの4強進出を狙った本部は、準々決勝で豊見城南の前に涙を飲みました。 しかし
その実力で、北部の雄として注目されました。 中でも 右アンダーハンドのエース・饒平名は
1.2回戦で完封するなど、好投手ぶりを発揮しました。 玉城を中心に 仲田・知念秀・與那嶺
ら好打者が揃う打線も強力で、 美里・普天間・那覇 といった好チームを圧倒して勝ち上がり
ました。ただ、3回戦で捕手の崎濱が故障したのが大きく響きました。
 宜野湾は、投打に実力を発揮して 19年ぶりの8強進出を果たしました。 特にエース右腕・
島袋の投球は圧巻でした。切れの良い変化球と優れた制球力を用いて、1回戦の八重山農
林戦と 3回戦の沖縄高専戦でそれぞれ完封。 2回戦でも北中城を相手に被安打2・1失点
の好投を見せました。準々決勝の浦添工業戦では延長で敗れましたが、 金城・池原の1.2
番に主軸の比嘉義・時岡らの打線は、大会を通して勝負強さを発揮しました。
 浦添商業は2年ぶりの秋季九州大会出場を狙いましたが、 準々決勝で 宮古の前に敗れ
去りました。夏の甲子園出場で新チームの立ち上がりが遅れた同校ですが、それでも流石
の試合巧者ぶりを発揮して実力を見せ付けました。 技巧派長身右腕の新垣大は、 球持ち
の良さと多彩な変化球を駆使して、 2回戦では強打の八重山商工打線を被安打3の1失点
に抑える快投を演じました。 打線は小粒ながら 新田・仲里の甲子園経験者を軸に 棚原伸・
棚原祐・金城博ら俊足の好打者が揃い、 抜群の機動力を駆使した 積極的な攻撃を披露し
ました。特に走塁面では、リードの大きさといい、絶えず次の塁を狙う姿勢といい、圧倒的な
意識の高さを伺わせました。



[嘉手名の1年生エース・池原有]


 優勝候補の一つとして注目された中部商業は、 3回戦で宮古の前に屈辱のコールド負け
を喫しました。しかしその沖縄屈指の高い戦力は、今後も評価を変える事無く警戒され続け
るでしょう。特に右腕の好投手を擁する投手陣の実力は疑いようが無く、根間は2回戦のコ
ザ戦では15奪三振、被安打2、与四死球0という圧巻の投球を披露しました。 期待の大型
右腕・比嘉も 素晴らしい快速球で沸かせました。 センス抜群の好打者・仲里やスラッガー
の山川らを擁する打線は破壊力があり、 嶺井・稲嶺らは機動力の高さも持ち合わせます。
 名護は、右腕エース・豊田の活躍に尽きます。 初戦の与勝戦でスミイチの完封勝利を演
じた豊田は、 2回戦の糸満戦では延長15回を1人で投げ抜き1失点の完投勝ち。3回戦で
は浦添工の運天・比嘉の強力投手陣を相手に9回サヨナラ負けを喫しましたが、 独特の宜
野座カーブを駆使した粘り強い投球は今大会でも一際大きな話題を呼びました。
 去った夏の大会で4強入りを果たした石川は、今期も強力なチーム力を発揮しました。下
手投げのエース・安里は 巧みな投球術を駆使して安定した投球を披露。 打線も前期から
の主力で捕手の山内翔を中心に 長打力抜群の攻撃力を発揮して、緒戦をコールドで勝ち
上がると2回戦では、実力校の沖縄工業を強打で撃破しました。
 那覇は、平良亮・宮城の投手陣と切れ目の無い打線で3回戦まで進出しました。 特にトッ
プの甲斐や 3番・野原健らを軸にした野手陣は 長打力あり 機動力ありの多彩な攻撃を展
開し、 初戦で好投手・知念を擁する南部工に快勝すると、 2回戦では 宜野座をコールドで
一蹴。一気に畳み掛ける洗練された攻撃力を見せつけました。
 知念は、初戦の沖縄水産戦が不戦勝で2回戦からの登場となりました。 その2回戦では、
右腕の勢理客が中部農林を完封。バランスの良いフォームからの切れの良い球が持ち味
の好投手は、その真価を存分に発揮しました。 打線も左のスラッガー嘉数を軸に力強さを
有する総合力の高い知念でしたが、3回戦で豊見城南の前に思わぬ大敗を喫しました。
 南部商業は、初戦で北山をコールドで下すと2回戦でも美里工に快勝。初戦完封の好投
手・知念を中心に、 攻撃でも長打力を発揮して 得点能力の高さを示しました。 3回戦では、
優勝した興南を相手に 中盤まで喰らい付きましたが 終盤に離され、 興南の島袋・石川の
投手陣の前に完封負けを喫しました。
 那覇商業は、投手陣の活躍が目に付きました。初戦の那覇工業戦を具志堅・大城のリレ
ーで完封すると、 2回戦では左腕の伊計が那覇国際を相手に要所を抑えて完投勝ち。 大
城・伊計は打っても中軸を担い強打を発揮しましたが、3回戦では強豪の浦添商投手陣の
前に打線が沈黙。 投手陣も浦商攻撃陣の卒の無い攻めに振り回され、大敗を喫しました。
 今大会、沖縄高専の活躍も光りました。初戦の辺土名戦をコールドで圧勝すると、2回戦
では 強豪の 具志川商業相手に 執念の 逆転勝ち。 好投手の宮城を擁し、糸村 ・仲宗根・
平安名らの強打者・好打者を揃える布陣は 確かな実力に満ちています。 今期はセンスの
ある選手達に恵まれていますので、今後も更に成長する事を期待します。



[名護のエース・豊田陽]


 大会の序盤に話題を呼んだ真和志は 1年生が多数を占め、 部員数わずか11名ながら、
初戦で有力校の西原に快勝して 旋風を起こしました。 唯一の2年生で好遊撃手の眞栄城
が抜群のセンスを発揮すると、 投げては1年生エースの好投手・久田が 快投を演じました。
2回戦では強豪・宮古にコールド負けを喫しましたが、今後に期待を抱かせました。
 北中城は、初戦の南部農林戦で延長のサヨナラ勝ちを収めました。 投げては山城・新城
の投手リレーで13イニングを完封で締めました。2回戦の宜野湾戦でも、宜野湾の好投手・
島袋と投手戦を演じましたが最終回に逆転を許し、1-2で涙を飲みました。 
 中部農林は初戦をコールドで勝ち上がりましたが、2回戦で実力校・知念の前に0-1のサ
ヨナラ負けを喫しました。しかし知念打線を8回まで無失点に抑えたエース高江洲の好投と、
初戦で長打を連発した山城元らの打力は光りました。
 具志川商業はエース北村勇の投打に渡る活躍で、初戦で好投手の池原擁する好チーム
の読谷相手に快勝しましたが、2回戦で沖縄高専の前に思わぬ逆転負けを喫しました。
 久米島はエース桃原が初戦の向陽戦で完封勝利を収める快投を演じましたが、2回戦で
嘉手納の1年生エース・池原の前に11三振で完封され、コールド負けを喫しました。
 普天間は初戦をコールドで突破する快調な出だしを見せましたが、2回戦で強豪・本部の
前に8回まで接戦で粘るも最終回に大量点を奪われ完封負けを喫しました。
 大城紳ら1年生の好投手を擁する豊見城は初戦の名護商工戦をコールドで圧勝しました
が、2回戦で優勝した興南の前に、接戦の末逆転で敗れ去りました。
 コザは 初戦で有力校の浦添をコールドで下しましたが、 2回戦で優勝候補・中部商業の
エース根間の前に15三振を喫し、わずか2安打で大敗しました。
 那覇国際も エース上地啓の好投で初戦をコールド完封で勝ち上がりましたが、2回戦で
那覇商業との接戦の前に涙を飲みました。有力校の一つ沖縄工業は、 桃原らの活躍で初
戦で美来工科に快勝するも2回戦で強豪・石川の前に涙を飲みました。翁長らの好打者を
擁する宜野座は初戦で北谷に快勝しましたが、2回戦で那覇の猛打の前に屈しました。 1
回戦不戦勝の美里工業は、2回戦で南部商業に逆転負けを喰らいました。



[真和志の1年生エース・久田大貴]


 今大会は多くの有力校が大会序盤で姿を消しました。 1年生有望選手を多く抱える糸満
もその一つ。 初戦の南風原戦を終盤の逆転で勝ちあがった糸満は、2回戦で強豪の名護
と激突。二度の降雨中断を挟んだ試合は、7時間近くに及ぶ延長15回の大激闘になりまし
たが、 15回表に1点を奪われた糸満は1-2で敗れ去り、 一日がかりに及んだゲームに涙
を飲みました。しかし大型右腕の宮國や津波古・金城秀ら素質の高い1年生を擁する糸満
の今後が楽しみです。
 有力校の大会序盤での敗退と言えば、 この2回戦では何とシード校が3校も敗れ去る大
波乱が続出しました。 大嶺・宮良・天願らの強打者を抱え、 興南と並ぶ有力な優勝候補に
も目されていた第3シードの八重山商工は、思わぬ早期敗退を喫しました。 エース花城の
完封と強力打線で 初戦をコールドで勝ち上がった八重山商工でしたが、 2回戦で早くも強
豪の浦添商業と激突する事になりました。この試合、 右本格派の大嶺を先発のマウンドに
立てた八重山商工でしたが、 浦添商業の卒の無い攻撃の前に序盤で2失点。結局終わっ
てみればこの2点が最後まで響き、 自慢の強力打線も浦添商業の長身右腕・新垣大の丁
寧な投球の前に散発3安打に抑えられ、 1-2で敗れ去りました。 有力メンバーを抱え3年
ぶりのセンバツ出場を狙った八重山商工でしたが、夏に再起を願うのみとなりました。
 今年のセンバツ優勝校で今大会第4シードの沖縄尚学は、 前期からの主力で名捕手の
主将・嶺井博を中心に2年連続のセンバツ出場を目指しましたが、 2回戦で早くも夢を絶た
れる結果となりました。初戦は左腕エース・比嘉の完封と、前期からのメンバーでもある普
天間のランニング本塁打等で球陽に快勝した沖縄尚学でしたが、 2回戦で沖縄屈指の速
球派右腕・浦添工業の運天が大きく立ちはだかりました。この試合、6回表に1点を先制し
た沖縄尚学でしたが、 1-0の僅差のまま迎えた9回裏、 投手陣の乱れから 2点を奪われ
逆転サヨナラ負けを喫しました。 前期に比べて迫力で劣る打線も、浦添工業・運天の前に
10三振を喫し、紫紺の大旗を全員で返しに行くという嶺井主将の願いは叶いませんでした。
 満を持して出場校中最後の登場となった第2シードの前原は、 初戦の2回戦で大会を去
る事になりました。相手は、今大会の準優勝校で九州大会出場を決めた豊見城南。 勿論、
前原は有力な優勝候補の一角で、 大会前ノーマークだった豊見城南に対して、下馬評で
は圧倒的に前原有利でした。 ところが蓋を開けて見ると、 豊見城南のエース呉我の前に
前原打線はなかなか決定打を奪えず、前原が誇る仲尾次・宮里勝の投手陣も6回に打者
一巡の猛攻で3点を奪われ逆転を許し、 結局 2-4で豊見城南の前に敗れ去りました。 こ
の試合、 前原の11安打に対して豊見城南は6安打。そして先制点も挙げた前原でしたが、
豊見城南・呉我の粘り強い投球の前に再三の好機を潰され涙を飲みました。



[浦添工の快速右腕・運天ジョン・クレイトン]


 1回戦でも多くの有力校・注目校が初戦敗退を喫しました。 投打に総合力の高い首里は、
大会前から有力視されていた学校の一つでしたが、 初戦の相手が浦添商業という籤運の
悪さに 泣きました。 もっとも 今大会前の新人地区大会では 浦添商業をコールドで破った
首里ですから、実力的には首里優位と見る向きも多かったでしょう。 とにかく1回戦屈指の
好カードと呼ばれた試合は、初回に2点を先制した浦添商業がその後も試合を優位に進め、
結局2-5のスコアで首里は敗れ去りました。 投打の中心・エース座波に慶田元・上原ら好
選手が多く揃う首里の今後の巻き返しに期待したいと思います。
 西原もまた 注目されながらも初戦敗退となったチームの一つ。 1年生エース・好投手の
池味が故障という不運もありましたが、 同じく1年生の好投手・花崎や2年生の榮ら素質の
ある選手を多く抱える西原は、 充分に有力校の一つに名を連ねていました。 ところが初戦
で同じ1年生中心の真和志の前に完敗してしまい、春以降に望みを繋ぐ事になりました。
 同じく1年生の好投手の儀間や 大型捕手の大城ら揃えて話題を呼んだ美里は、 初戦で
北部の強豪・本部と対戦しましたがコールド敗退、 完全な力負けを喫しました。しかし素質
豊かな選手達が一冬越えてどれだけ成長するのか大いに楽しみです。
 八重山は1年生の宮良匡・又吉ら左右の好投手を擁して初戦で強豪の宮古に挑み初回
に2点を先制しましたが、中盤以降突き放されコールド負けを喫しました。 途中降雨による
中断等もあり悪コンディションの中不運な面もありましたが、今後に期待します。
 首里東は初戦で今大会4強の浦添工業と対戦、序盤4点のリードを奪われました。 その
後は有銘・屋比久の投手陣が力投して最後まで無失点に抑えるも序盤の失点が響き、 打
線も浦添工業の比嘉・平良の強力投手リレーの前に無失点に封じられました。
 球陽は第4シードの強豪・超名門の沖縄尚学との初戦で臆する事無く善戦。 7回表終了
時点まで0-1の僅差で粘る頑張りを見せましたが、 7回裏に一挙4点を奪われ0-5で敗退
しました。しかし優勝候補相手の大健闘は特筆ものです。
 南部農林は北中城との初戦で延長13回の激闘の末、 0-1のサヨナラ負けを喫しました。
しかし1人で投げ抜き 12イニングを無失点に抑えたエース羽地の力投は賞賛に値します。
 那覇西は初戦で今大会の準優勝校・豊見城南相手に大型右腕の赤嶺を攻略、初回4点
を先制するなど激戦を演じましたが、延長に入った10回に力尽き、無念の涙を飲みました。
 那覇工業は初戦で那覇商業と対戦、先発の仲宗根が力投して那覇商業打線を1失点に
抑えるも、打線が那覇商の具志堅・大城のリレーに抑えられ完封負けを喫しました。
 与勝は初戦で強豪の名護と対戦。 エース盛根は名護の好投手・豊田に一歩も引かぬ見
事な投手戦を演じましたが、初回の1点が最後まで響き0-1で惜敗しました。
 八重山農林は好投手・島袋擁する宜野湾との初戦で完封負けを喫しましたが、エースの
仲筋も宜野湾打線を5回裏の3失点のみに抑える好投を見せました。
 美来工科は実力校・沖縄工業との初戦で完敗しましたが、金良・川満といった左右の1年
生に2年生の譜久山といった投手陣は、春以降が楽しみです。
 小禄は初戦で優勝候補の中部商業と激突。 中盤に中部商業の好投手・根間を攻略して
逆転しましたが、最終回に大逆転を許して金星を逃しました。
 南風原は 初戦で強豪の糸満と対戦。 初回に先制を許すも中盤に逆転に成功しましたが、
終盤の8回に再逆転を許し2-5で敗退しました。 好投手の知念や大型スラッガー福元を擁
する南部工業は、那覇の巧い野球の前に初戦で完敗を喫しました。浦添はコザとの初戦で
中盤まで接戦を演じましたが7回裏に突然乱れ、 コールド負けを喫しました。 読谷は好投
手の池原を擁するも強豪・具志川商の前に初戦で涙を飲みました。具志川は優勝校・興南
との初戦で中盤以降に突き放され、 大敗を喫しました。 北谷は実力校・宜野座との初戦で
接戦の末敗退しました。



[浦添商のエース・新垣大成]


 前期は沖縄尚学のセンバツ優勝と 浦添商業の夏の甲子園4強で盛り上がった沖縄高校
野球界は、その余韻を引き継ぎ、 この秋も活気に満ちた大会となりました。しかし当然の事
ながら新チームゆえの未熟さも多く見受けられました。 特に大会序盤はコールドゲームが
相次ぎ、全コールドゲーム16試合は全て1.2.3回戦でした。 特に1回戦では全28試合の
うち、実に11試合がコールドゲームという様相でした。しかし大会が進むにつれ、実力が拮
抗して行き 競った試合が大半を占めるようになりました。 また完封試合が多かったのも今
大会の特徴で、全59試合のうち3分の1以上の20試合が完封試合となりました。
 以上の結果が示すように各チームの実力差がはっきりとして、 更に好投手が非常に多く
目立った大会でもありました。 前期の沖縄尚学・東浜巨、浦添商業・伊波翔悟、 両投手の
影響か、 県全体の投手のレベルは格段に進歩したと思います。 全体的に制球力と変化球
の精度が増し、 決して力に頼らない粘りの投球が出来る投手が多くなりました。 変化球は、
これまでの主流であったスライダーは勿論、 カットボールやツーシームといった ストレート
系統の変化球が増え、更にカーブを決め球に持つ投手が以前よりも見受けられました。ま
た 投手の生命線であるアウトローの制球力にも優れた投手が増え、 その上で インコース
を果敢に攻め込む幅広い投球を披露し、タイミングのずらし方や駆け引き面でも高度な投
球術を行える投手が複数出てきました。 ただ、投手のレベルアップに比較して捕手の技術
力が追い付かないチームも目に付きました。 今大会でのパスボールの多さがそれを如実
に物語っています。
 捕手以外の守備面に関しても秋季大会ゆえの粗さは目立ちましたが、各チームとも身体
能力の高いセンス溢れる選手が大勢おり、 一冬越えれば間違いなく格段の進歩を見せる
事でしょう。特に二遊間に関しては優れた選手が大勢見受けられました。
 攻撃面では、バントやヒットエンドラン等を多用する多彩な攻めが目立った一方、走塁面
では全体的に物足りなさを感じました。無謀さと積極性は紙一重ですが、各自の脚力を最
大限に活かしきれていないチームが圧倒的に多かったと思います。 その中で、 上位進出
したチームの中には抜群の走塁技術を持ったチームも存在しました。 他校の優れた面は
是非参考にして、 各チームとも積極的に取り入れて欲しいと思います。 攻撃面では他に、
チーム全体の意思統一がなされていないチームがほとんどだったと思います。 是は極め
て重要な事で、ある著名な野球人は、 これでチームの質がわかるのは勿論、今後の成長
度合いが占えるという様な事を仰っていました。 成る程、意思統一のしっかりとなされてい
るチームは、今大会でも確実に上位へ進出していました。 また攻撃面に関して、近年の沖
縄高校野球全体に言える事ですが、打力の非力さ等が目立ちます。 全体的にスイングが
弱く、 振り抜く事が出来ない選手や変化球に脆い選手が多く見受けられます。投手のレベ
ルが格段に向上している事を差し引いても、やはり改善が望まれます。全国レベル他府県
の強豪校と比較して、 沖縄県のチームは投手力や守備力、走塁、戦術面においては決し
て見劣りしないのですが、 こと打撃の力強さに関しては、まだまだ及ばないと思われます。





 沖縄のある名将は言いました。 高校野球チームの本当の勝負は、如何にシーズンオフ
を過ごせるかに掛かっていると。 秋季大会でも 選手やチームの底力は把握出来ますが、
やはり一冬越した春にどれだけ成長しているかが、 大事だと思います。 今度の九州大会
へ出場する興南と豊見城南は、何とかセンバツ出場を決めて春の甲子園に向けた鍛錬を
行って欲しいと当然願いますし、 また他校の野球部員達も高校野球の高みを目指すので
あれば、このシーズンオフにしっかりと鍛えて、大きく成長した姿を来年の3月に見せて欲
しいと思います。夢に向けた戦いは、まだまだこれからです。チバリヨー、沖縄球児達!!





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秋季沖縄大会のトーナメント表
http://neogaia.ti-da.net/e2276559.html


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第58回沖縄県高校野球秋季大会・試合結果(最終日)
http://neogaia.ti-da.net/e2324662.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会・試合結果(12日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2320749.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会・試合結果(11日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2319306.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会・試合結果(10日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2309186.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会・試合結果(9日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2305718.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会・試合結果(8日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2296877.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会・試合結果(7日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2296815.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会・試合結果(6日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2296746.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会・試合結果(5日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2296331.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会・試合結果(4日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2296281.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会・本日(4日目)は雨天順延
http://neogaia.ti-da.net/e2295034.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会・試合結果(3日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2294355.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会・試合結果(2日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2292943.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会・試合結果(1日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2291642.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会 (本日の日程)
http://neogaia.ti-da.net/e2290494.html

本日、開幕 (第58回沖縄県高校野球秋季大会)
http://neogaia.ti-da.net/e2289296.html


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第58回沖縄県高校野球秋季大会・決勝戦の見所
http://neogaia.ti-da.net/e2321830.html

第58回沖縄県高校野球秋季大会・終盤戦の見所
http://neogaia.ti-da.net/e2314618.html

宮古高校・川田将平選手
http://neogaia.ti-da.net/e2310186.html

第58回沖縄県高等学校野球秋季大会・注目の野手達
http://neogaia.ti-da.net/e2286045.html

第58回沖縄県高等学校野球秋季大会・注目の投手達
http://neogaia.ti-da.net/e2286006.html


第58回沖縄高校野球秋季大会の展望.4 (前原ブロック)
http://neogaia.ti-da.net/e2279873.html

第58回沖縄高校野球秋季大会の展望.3 (八商工ブロック)
http://neogaia.ti-da.net/e2279871.html

第58回沖縄高校野球秋季大会の展望.2 (沖尚ブロック)
http://neogaia.ti-da.net/e2279867.html

第58回沖縄高校野球秋季大会の展望.1 (嘉手納ブロック)
http://neogaia.ti-da.net/e2279860.html

第58回沖縄県高等学校野球秋季大会. 抽選前の展望
http://neogaia.ti-da.net/e2275811.html


第35回沖縄県高校新人野球中央大会
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Posted by neogaia at 23:52 │沖縄高校野球