ネオ・オキスタ

[興南先発の石川清太投手は、6回を自責点0に抑えて復活を印象付けた]


　興南が終盤の集中打で逆転、沖縄尚学を下す

　3月8日、浦添商グラウンドで行われた3校リーグの第2試合は「興南vs沖縄尚学」。 両校の先発投手は､ともに右腕の興南・石川清太（3年）に沖縄尚学・砂川幸乃輔（3年）。 両投手とも現在はチーム内では2番手以降に甘んじていますが､どちらもエースナンバーを背負ってもおかしくない実力の持ち主です。 特に興南・石川は1年夏に華々しいデビューを飾り将来を渇望されましたが故障に泣き、去年は後輩の島袋洋奨投手の後塵を拝む格好になっただけに､ 今年に掛ける思いは人一倍強いと思います。 一方の沖尚・砂川投手も 中学時代に県優勝投手に輝いた実績を持つだけに、高校最終学年に意地を見せたい所でしょう。 そういう意味で注目して観戦したこの試合､序盤から両投手の出来は想像以上で、非常に緊迫した投手戦が展開されました。 両投手の投球内容から先に述べると、 まず興南・石川が6回を投げて被安打2・奪三振6で自責点0、 沖尚・砂川も6回を投げて被安打3・与四死球0で自責点・失点ともに0と、抜群の結果を残しました。さて試合の方ですが、先制したのは沖縄尚学。6回表の沖縄尚学は2死から山城紹史が投ゴロ送球エラーで出塁すると、 次打者死球で2死12塁となったところで､ 4番・普天間有司が 左中間ネットを突き抜けるエンタイトル二塁打を放ち 1点を先取。対する興南は7回裏､この回からマウンドに上がった沖尚･喜久川大輔（2年）を攻め立てます。まず この回先頭の石川が三遊間を破って出塁すると、 エンドラン等で2死2塁としたところで、我如古盛次が左中間へ適時二塁打を放ち同点に追いつきます。更に山川大輔も右中間を強烈に破る適時二塁打で続き、2-1と勝ち越しに成功しました。 その後 8回表沖縄尚学の攻撃中に降り始めた雨がいっそう強さを増し、8回裏興南の攻撃が始まろうとした頃には､激しい土砂降りとなり試合が中断になりました。結局雨はその後なかなか止む気配を見せず､ 試合は 8回降雨コールドで興南の勝ちとなりました。　

▽練習試合

2009年3月8日（日）

◇浦添商グラウンド：第2試合

沖 　尚 000 001 00 - 1
興 　南 000 000 2x - 2
　　　　[8回表終了時降雨コールド]

（沖）砂川、喜久川 - 嶺井博
（興）石川、砂川 - 山川

三塁打＝普天間（沖）
二塁打＝普天間（沖）我如古、山川（興）

　この試合やはり一際目を奪われたのが、興南･石川清太と沖尚･砂川幸乃輔の両先発投手。まず興南・石川ですが、 もう復活したと見て間違いないでしょう。 投球フォームが変則的に変わっていたのは気になりますが、 試行錯誤の末に最も理に叶ったスタイルだと結論付けたのでしょう。 何よりもあの威力抜群のストレートが戻って来た事は、嬉しい限りです。1年生の頃より身長も伸びて（183㎝）、一回り大きくなった体格は 長い手足と相まって理想的な投手体型をしています。石川の一番の魅力は直球の球質にあります。ネット裏で見るとスピードガン表示以上に速さを感じて迫力があります。そして直球とほぼ同じフォームから繰り出されるスライダーの切れとブレーキ鋭いカーブに惚れ惚れします。この日の試合では制球力に関しても及第点が与えられ､このまま調子を上げていけばセンバツでも結果を残せるでしょう。 まずは今春甲子園での石川の躍動感溢れる投球に期待したいと思います。 そして石川に負けず劣らず素晴らしい投球を披露したのが、沖尚・砂川投手。これまで1年生大会を除く主な公式戦での登板はありませんでしたが、密かに注目していた投手でした。スラリとした体型からは迫力は感じられませんが、非常にバランスの良い好投手です。 彼もまた魅力的な球質の持 ち主で、素直な球筋と思わせながら実は打者の手元でクンと伸びる直球を放ります。そして、先輩・東浜巨投手譲りかと思われる ツーシームが素晴らしい。 ほぼストレートと同じ軌道で 来て微妙に沈むその変化球を見事に制球良く操ります。 それに沖尚らしい正統派の投球ス タイルにも好感が持てます。ちなみにこの日の投球は、強打の興南を相手に5回までイレギ ュラーの内野安打1本に抑える好投を演じて、 全く危なげがありませんでした。 その他この 試合に登板した投手では 沖尚・2年の喜久川大輔投手が 本来の調子を掴む事が出来ませんでしたが、 興南の2年生左腕・砂川大樹投手は 2回を被安打1・奪三振2の失点0に抑え、 相変わらずの安定感を見せ付けました。 野手陣では、 まず沖尚の主砲・普天間有司（3年）の強打に目を奪われました。 決して大柄とは言えない体格ですが、スイングに強さがあり長 打力抜群です。1昨年秋にあの伊波翔悟（浦商-沖電）から右翼席へ本塁打を放ったパワー は伊達じゃなく､この日も右に左に強烈な打球を飛ばしていました。そして沖尚･嶺井博希（3年）と興南･山川大輔（2年）、両捕手の存在感も際立ちました。沖尚・嶺井の捕手としての抜 群の資質は今更語るまでもありませんが､ 山川も 昨秋と比較してだいぶ捕手らしくなりました。特に弾丸のような送球を放る強肩は圧巻で､機動力を誇る沖尚の走塁を何度も刺殺しま　した。 とりあえず肩の強さに関しては、沖尚・嶺井を陵駕しています。フットワークに関しても かなり機敏になってきており、リード面を含めて今後どれだけ伸びていくのか楽しみです。そ　してパンチ力溢れる打撃も魅力的で、春甲子園での大暴れが楽しみです。興南勢では他に、この日三塁を守った我如古盛次（2年）のシュアなバッティングが目を引きました。 　　　　

　さて今年最初の練習試合を1勝1敗で終えた興南ですが、 今回のリーグ戦は春センバツを前にして沢山の収穫があったと思います。この日戦った3校はいずれも沖縄トップクラスのチームでありながら、 それぞれに持味が違います。 例えば浦添商は走塁技術に関して抜きん出ており、リードの広さといい進塁への意識の高さと言い他と一線を画します。沖縄尚学も機動力に関しては最高のレベルにありますが、 それ以上に軽快なボール回しやポジショニングといった守備面での技術に目を見張るものがあります。この日の試合で興南はライバル校の長所を目の当たりにして、大いに刺激を受けた事でしょう。そして是非それを貪欲に学んで己の武器に変えて欲しいと思います。 この日の興南は2試合で2得点と攻撃に関しては精彩を欠きましたが、それでも個々のバットスイングは非常に力強く､ 昨秋に比べてかなりパワーア ップしている印象を受けました。 甲子園の本番まで残り時間はあとわずかとなりましたが、層の厚いハイレベルな投手陣は勿論、攻撃面や守備面でもしっかりと調整して、憧れの舞台では悔いを残す事のないよう 大暴れして欲しいと思います。 さあ 明日13日はいよいよ抽選会。そして来週土曜日にはセンバツ大会の開幕を迎えます。 魂・知・和の精神で力の限り戦って くれ。春センバツ甲子園でも、チバリヨー興南ナイン！！

※　選手の学年は新学年です。


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