2009年07月17日
第91回全国高校野球沖縄大会・終盤戦を前に

先月20に開幕して 熱戦が続いた第91回全国高校野球選手権沖縄大会も いよいよ大詰めの終盤戦を迎え、 明日7月18日には準決勝、そして明後日には決勝戦が行われて晴れの代表校が決まります。そこで準決勝を前にベスト4進出4校の戦力等をデータに基づき簡易分析して、激闘が予想される終盤戦を展望して見たいと思います。
第91回全国高校野球選手権沖縄大会・トーナメント表
http://neogaia.ti-da.net/e2507528.html
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◇興南高校
試合数:3
準々決:3-0浦添工
3回戦:4-0首 里
2回戦:2-0美 里
◆投手成績
全登板投手:島袋洋奨
3試合:投球回数27 打者96 被安打12 自責点0 奪三振31 与四死球4
防御率0.00 被安打率4.00 奪三振率10.33 与死四球率1.33
※主戦投手:島袋洋奨(2年、172、65、左左)
3試合:投球回数27 打者96 被安打12 自責点0 奪三振31 与四死球4
防御率0.00 被安打率4.00 奪三振率10.33 与死四球率1.33
◆打撃・守備成績
3試合:24回 83打数 20安打 9打点 17三振 14四死球 9犠打 2盗塁 25残塁
2失策 2併殺
打率0.241 総得点9 得点率3.38 総失点0 失点率0.00 得失点差率3.38
※長打(6本)
三塁打=冨里川、島袋(2本)
二塁打=石川、眞栄平、山川、我如古(4本)
◇注目の野手
石川清太(3年、外野、184、74、右右)
山元弘太(3年、二塁、169、65、右右)
センバツ出場校で第1シードの優勝候補筆頭・興南は、大会前の評判通り順当に勝ち上がって来ました。 中でも2年生左腕エース・島袋洋奨の存在感は圧倒的。これまでの3試合を全て9回完封、 被安打率が4.00で与死四球率は1.33。 注目の奪三振率も 10.33と相変わらずの凄さを見せ付けています。 初戦の美里戦こそ苦しみましたが、 大会が進むにつれて調子も上がり、先週の土・日曜は連投も経験して課題とされていたスタミナ面でも大きな成長を感じさせました。ストレート・変化球ともに一段と威力を増し、高校生離れしたマウンド捌き。まさしく難攻不落としか言いようがなく、今夏のスーパーサウスポーの投球から益々目が離せません。
打線に関しては打率が0.241・得点率3.38・長打6本、残塁も25と揮いませんでしたが、9犠打を記録するなど手堅さは目に付きます。ただこれまで対戦して来た相手が浦添工の比嘉元樹・運天ジョン・クレイトンや首里の座波孝行、美里の安慶田剛士・儀間弘樹といった、実力派の好投手ばかりだったので、その点は差し引いて評価すべきでしょう。 中でも山元弘太・慶田城開の1・2番は 非常に卒が無く 積極性があります。 センスの高い3番の石川清太は好機に強く、 山川大輔・我如古盛次らも好調を維持しています。 今後は中軸の冨里川奨也と眞榮平大輝、 そして下位に甘んじている国吉大陸に本来の調子が戻れば得点力もアップするでしょう。 またパワーのある伊禮伸也や安慶名舜らも控えており、選手層の厚い興南が本来の実力を発揮出来れば甲子園もいっそう近くなると思います。
守備に関しては、 ここまでわずか2失策と抜群の安定感を誇ります。 脅威の肩を持つ捕手・山川や 軽快な動きを見せる二塁手の山元らを中心に 守備陣は非常に高いのレベルを有します。沖縄ナンバーワンの投手とディフェンス力を誇る興南には、 決して崩れる事の無い磐石な強さがあり 優勝候補最右翼の地位は揺るぎません。
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◇八重山商工高校
試合数:4
準々決:7-0那覇商[8回コールド]
3回戦:5-1前 原[延長10回]
2回戦:6-0南風原
1回戦:5ー1普天間
◆投手成績
全登板投手:花城直将、大嶺翔太、宮城只利康
4試合:投球回数36 打者129 被安打14 自責点2 奪三振18 与四死球11
防御率0.50 被安打率3.50 奪三振率4.50 与死四球率2.75
※主戦投手1:花城直将(3年、175、65、右右)
4試合:投球回数29 打者97 被安打9 自責点1 奪三振12 与四死球8
防御率0.31 被安打率2.79 奪三振率3.72 与死四球率2.48
※主戦投手2:大嶺翔太(3年、180、80、右右)
2試合:投球回数6 打者24 被安打5 自責点1 奪三振5 与四死球3
防御率1.50 被安打率7.50 奪三振率7.50 与死四球率4.50
◆打撃・守備成績
4試合:35回 141打数 46安打 20打点 17三振 22四死球 7犠打 6盗塁 42残塁
3失策 3併殺
打率0.326 総得点23 得点率5.91 総失点2 失点率0.50 得失点差率5.41
※長打(10本)
三塁打=大嶺、宮良、天願、加藤次(4本)
二塁打=宮良2、天願2、花城、北倉(6本)
◇注目の野手
大嶺翔太 (3年、三塁、180、80、右右)
宮良当太郎(3年、外野、175、75、左左)
有力な優勝候補と言われ続けてきた八重山商工もまた、4強中唯一のノーシードながらも順当な勝ち上がりだと言えるでしょう。投攻守に沖縄屈指の実力校と評されながら中々結果を残せなかった今期の八重山商工ですが、いよいよ今夏、その本来の能力を発揮しつつあります。特に3回戦で前原との延長戦を制した経験は、今後に大きな弾みを付けた事でしょう。
まず投手陣ですが、 これまでの4試合の成績は失点がわずか2で防御率は0.50。 特筆すべきは被安打率で、9イニング平均では3.50と、好投手が揃う4強の中でも群を抜く数字を残しています。 中心になるのは花城直将と大嶺翔太の両右腕で、 花城は奪三振率こそ3.72と高くありませんが、 防御率が0.31、被安打率は脅威の2.79を誇ります。 2回戦の南風原戦ではノーヒットノーランを達成したように、彼もまた今夏沖縄を沸かせ続ける凄い投手の一人と言えるでしょう。 注目の大嶺は3回戦の前原戦こそ先発しましたが、まだまだ真価を発揮出来ていません。 それでも防御率1.50と粘りの投球を見せており、 3年ぶりの頂点を掴む為には大嶺の復活が待たれます。
打線に関しては これまで4強中最高の チーム打率0.326を残し、 盗塁も トップの6個を記録。 選んだ四死球もダントツの22個で、打点・得点率・長打数でも高数字を示しています。今大会好調を維持している 宮良当太郎・天願陽介といった左のスラッガーに、 4番の加藤次郎や打撃センスの高い西里光盛らの活躍も光ります。 ただ残塁も4強中トップの42個で、未だ実力を充分に出せていない面が見受けられます。 しかし このチームの攻撃力が図抜けているのは誰もが認める所。投手同様に、打者としての大嶺の復調も待たれます。
守備に関しては、 これまで失策が3個。 これは4強の中では興南に続く好成績で、併殺も3個を記録しています。今期の八重山商工は内外野ともに非常に鍛え抜かれており、特に連携プレーにおいては驚くような隙の無さを見せてくれます。総合力で極めて高い力を持つ同校ですが、準決勝以降はやはり大嶺翔太が鍵となるでしょう。彼が爆発したならば、 栄冠もおのずと手にしていると思われます。
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◇沖縄水産高校
試合数:4
準々決:2ー1本 部
3回戦:1-0石 川[延長11回]
2回戦:6-0西 原
1回戦:10-0那覇西[5回コールド]
◆投手成績
全登板投手:比嘉智哉、知念績太
4試合:投球回数34 打者122 被安打17 自責0 奪三振30 与四死球1
防御率0.00 被安打率4.50 奪三振率7.94 与死四球率1.06
※主戦投手1:比嘉智哉(3年、179、77、右右)
2試合:投球回数16 打者56 被安打6 自責点0 奪三振17 与四死球4
防御率0.00 被安打率3.38 奪三振率9.56 与死四球率2.25
※主戦投手2:知念績太(3年、173、70、左左)
2試合:投球回数18 打者62 被安打11 自責点0 奪三振13 与四死球0
防御率0.00 被安打率5.50 奪三振率6.50 与死四球率0.00
◆打撃・守備成績
4試合:32・2/3回 111打数 26安打 15打点 9三振 16四死球 9犠打 5盗塁 22残塁
5失策 5併殺
打率:0.234 総得点19 得点率5.34 総失点1 失点率0.26 得失点差率5.08
※長打(7本)
三塁打=山城明、崎枝、下地(3本)
二塁打=比嘉秀、山田、上原、玉城英(4本)
◇注目の野手
比嘉秀斗(3年、捕手、180、79、右右)
山城明久(3年、中堅、171、65、右左)
春季県大会準優勝校で第3シードの沖縄水産は、苦しみながらも堂々の4強入りを果たしました。特に3回戦の石川戦、準々決勝の本部戦と厳しい戦いを乗り越えた事で、非常に大きな勢いが付いたと思われます。
その沖縄水産で特筆されるのが投手陣。 これまでの4試合で 防御率は 興南と並ぶ0.00、与死四球率も4強中トップの9イニング平均1.06を誇ります。 エース比嘉智哉は威力抜群のストレートに安定感が加わり、防御率0.00・奪三振率9.56・被安打率3.38と素晴らしい成績を残しています。 特に課題とされていた制球力に大きな進化を遂げた点は大きく、1回戦の那覇西戦では参考記録ながらノーヒットノーランを記録し、3回戦では延長11回を投げ抜き見事完封勝利を飾りました。 そしてもう一人の主力投手・左腕の知念績太が 比嘉智に負けず劣らずの実力を発揮しており、 これまでの2試合とも 9イニング無四球完投で 防御率も0.00を記録しています。 この両輪の今夏の完成度は極めて高く、 好投手ひしめく4強の中でも最強の布陣と言えるでしょう。
打線はチーム打率が4強中最も低い0.234で、 打点・長打数も高くはありません。 しかしこれは3回戦以降に、 石川の比嘉吉人・安里賢弥や本部の饒平名巧やといった優れた投手達と僅差の死闘を演じた為で、 打力自体はむしろ強力だと言えます。2回戦では西原の池味翔也・榮哲平といった好投手を打崩し、5盗塁に9犠打を絡める多彩な攻撃力で 得点率は5.34と高い数値を残しています。 好機に強い3番の山城明久に、 上原大和・崎枝大貴の1・2番コンビは卒が無く、 比嘉智は外野手としてもクリーンナップを任されます。 主砲・比嘉秀斗の爆発力が鳴りを潜めてますが、 彼本来の打撃が戻れば再び強打のチームが復活するでしょう。
守備は5失策を記録していますが併殺も5つと基本的に鍛えられており、 強力投手陣を擁して総合力も高い沖縄水産は 11年ぶりの夏甲子園を 掴めるムードを 大きく漂わせています。
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◇中部商業高校
試合数:4
準々決:7-1コ ザ
3回戦:10-2美来工[7回コールド]
2回戦:4-1浦添商
1回戦:3-2嘉手納
◆投手成績
全登板投手:根間孝太、比嘉一史、熊本譲、宮城一慶
4試合:投球回数34 打者130 被安打18 自責点6 奪三振37 与四死球9
防御率1.59 被安打率4.76 奪三振率9.79 与死四球率2.38
※主戦投手:根間孝太(3年、178、76、右右)
3試合:投球回数27 打者100 被安打15 自責点4 奪三振32 与四死球8
防御率1.00 被安打率5.00 奪三振率10.67 与死四球率2.67
◆打撃・守備成績
4試合:31回 121打数 37安打 24打点 26三振 11四死球 9犠打 0盗塁 24残塁
3失策 0併殺
打率0.306 総得点24 得点率6.97 総失点6 失点率1.59 得失点差率5.38
※長打(11本)
本塁打=仲里孝3、山川(4本)
三塁打=仲里孝、山川2、嶺井、上間、(5本)
二塁打=山内、稲嶺(2本)
◇注目の野手
山川穂高(3年、外野、175、85、右右)
仲里孝也(3年、外野、172、73、右左)
春季県大会優勝校で今夏も有力な優勝候補の第2シード・中部商は 激戦ブロックをクリア、実力通りの4強入りを果たしました。 今夏の中部商は初戦・2回戦と序盤戦から強敵を相手にする組合せとなりましたが、 1回戦の嘉手納戦で 大会屈指の2年生右腕・池原有を仲里孝也の2本塁打等で撃破すると、 次戦では前年度優勝校の浦添商にも仲里の3号と山川のソロの2発で快勝して地力の高さを見せ付けました。
圧倒的な強打が目立つ今夏の中部商ですが、それにも増して、エース根間孝太の投球には目を見張るものがあります。これまで3試合に登板して、防御率1.00・被安打率は5.00。そして何よりも凄いのが10.67を記録した奪三振率で、これはあの興南の奪三振マシーン島袋洋奨の数字をも上回ります。球威抜群のストレートに加え切れ味鋭いスライダーがいっそうの安定感を増し、気迫溢れる投球スタイルで対戦相手を圧倒して来ました。
打線は右のスラッガー・山川穂高と左の強打者・仲里孝也を中心に、 トップの嶺井琢磨や5番・糸数翔、 下位の上間智晴・山内智晴ら蒼々たる強打者が並びます。とりわけ山川の圧倒的強打は県内でも群を抜き、 今大会3本塁打を記録した仲里孝のセンス溢れる打撃と共に相手校にとってはかなりの脅威です。 4本塁に加えて5本の三塁打など長打の数では4強の中でもダントツを誇る中部商打線。9イニング平均の得点率も6.97と4強中トップで、9犠打を絡める手堅さに加え3割を超える打率はもちろん 残塁数の少なさからも抜群の攻撃力が伺えます。とにかく打線の破壊力では沖縄一とも言える中部商の攻撃は見所満載です。
打力に隠れがちですが守備も4試合で失策3と安定しており、強力な本格派エースと屈指の打線、優れたディフェンス力を擁する中部商は、 選手個々の力量から言えば今夏沖縄でも最も甲子園に近いチームと言えるでしょう。
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以上、 今夏沖縄大会4強進出各チームの戦力を分析しましたが、 各チームとも非常に高い総合力を有します。とりわけ4校とも投手陣がかつて無い程のハイレベルで、準決勝以降の勝敗の行方は全く予測出来ません。夏の沖縄大会でかつてこれほど高い力量で拮抗した4強が揃った事があるでしょうか? ですからここまで来たら、球運を引き寄せる気持ちの強さが勝敗を左右してくるのでしょう。いずれにしても、文字通りベストの沖縄4強が残りました。準決勝進出4校のナインは決して悔いを残さぬ様、これまで鍛錬してきた己の力を全てぶつけて完全燃焼の集大成を迎えて欲しいと思います。
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第91回全国高校野球沖縄大会・試合結果(九日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2531932.html
第91回全国高校野球沖縄大会・試合結果(八日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2531931.html
第91回全国高校野球沖縄大会・試合結果(七日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2527448.html
第91回全国高校野球沖縄大会・試合結果(六日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2526722.html
第91回全国高校野球沖縄大会・試合結果(五日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2521718.html
第91回全国高校野球沖縄大会・試合結果(四日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2521659.html
第91回全国高校野球沖縄大会・試合結果(三日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2517783.html
第91回全国高校野球沖縄大会・試合結果(二日目)
http://neogaia.ti-da.net/e2516729.html
第91回全国高校野球沖縄大会・試合結果(初日)
http://neogaia.ti-da.net/e2516549.html
若人よ いざ
http://neogaia.ti-da.net/e2514623.html
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第91回全国高校野球沖縄大会の展望.1 (興南ブロック)
http://neogaia.ti-da.net/e2513794.html
第91回全国高校野球沖縄大会の展望.2 (糸満ブロック)
http://neogaia.ti-da.net/e2513817.html
第91回全国高校野球沖縄大会の展望.3 (沖縄水産ブロック)
http://neogaia.ti-da.net/e2513865.html
第91回全国高校野球沖縄大会の展望.4 (中部商業ブロック)
http://neogaia.ti-da.net/e2513872.html
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第91回全国高校野球沖縄大会・注目の投手達
http://neogaia.ti-da.net/e2510895.html
第91回全国高校野球沖縄大会・注目の野手達
http://neogaia.ti-da.net/e2513085.html
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第91回全国高校野球選手権沖縄大会. 抽選前の展望
http://neogaia.ti-da.net/e2507079.html
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試合数:3
準々決:3-0浦添工
3回戦:4-0首 里
2回戦:2-0美 里
◆投手成績
全登板投手:島袋洋奨
3試合:投球回数27 打者96 被安打12 自責点0 奪三振31 与四死球4
防御率0.00 被安打率4.00 奪三振率10.33 与死四球率1.33
※主戦投手:島袋洋奨(2年、172、65、左左)
3試合:投球回数27 打者96 被安打12 自責点0 奪三振31 与四死球4
防御率0.00 被安打率4.00 奪三振率10.33 与死四球率1.33
◆打撃・守備成績
3試合:24回 83打数 20安打 9打点 17三振 14四死球 9犠打 2盗塁 25残塁
2失策 2併殺
打率0.241 総得点9 得点率3.38 総失点0 失点率0.00 得失点差率3.38
※長打(6本)
三塁打=冨里川、島袋(2本)
二塁打=石川、眞栄平、山川、我如古(4本)
◇注目の野手
石川清太(3年、外野、184、74、右右)
山元弘太(3年、二塁、169、65、右右)
センバツ出場校で第1シードの優勝候補筆頭・興南は、大会前の評判通り順当に勝ち上がって来ました。 中でも2年生左腕エース・島袋洋奨の存在感は圧倒的。これまでの3試合を全て9回完封、 被安打率が4.00で与死四球率は1.33。 注目の奪三振率も 10.33と相変わらずの凄さを見せ付けています。 初戦の美里戦こそ苦しみましたが、 大会が進むにつれて調子も上がり、先週の土・日曜は連投も経験して課題とされていたスタミナ面でも大きな成長を感じさせました。ストレート・変化球ともに一段と威力を増し、高校生離れしたマウンド捌き。まさしく難攻不落としか言いようがなく、今夏のスーパーサウスポーの投球から益々目が離せません。
打線に関しては打率が0.241・得点率3.38・長打6本、残塁も25と揮いませんでしたが、9犠打を記録するなど手堅さは目に付きます。ただこれまで対戦して来た相手が浦添工の比嘉元樹・運天ジョン・クレイトンや首里の座波孝行、美里の安慶田剛士・儀間弘樹といった、実力派の好投手ばかりだったので、その点は差し引いて評価すべきでしょう。 中でも山元弘太・慶田城開の1・2番は 非常に卒が無く 積極性があります。 センスの高い3番の石川清太は好機に強く、 山川大輔・我如古盛次らも好調を維持しています。 今後は中軸の冨里川奨也と眞榮平大輝、 そして下位に甘んじている国吉大陸に本来の調子が戻れば得点力もアップするでしょう。 またパワーのある伊禮伸也や安慶名舜らも控えており、選手層の厚い興南が本来の実力を発揮出来れば甲子園もいっそう近くなると思います。
守備に関しては、 ここまでわずか2失策と抜群の安定感を誇ります。 脅威の肩を持つ捕手・山川や 軽快な動きを見せる二塁手の山元らを中心に 守備陣は非常に高いのレベルを有します。沖縄ナンバーワンの投手とディフェンス力を誇る興南には、 決して崩れる事の無い磐石な強さがあり 優勝候補最右翼の地位は揺るぎません。
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◇八重山商工高校
試合数:4
準々決:7-0那覇商[8回コールド]
3回戦:5-1前 原[延長10回]
2回戦:6-0南風原
1回戦:5ー1普天間
◆投手成績
全登板投手:花城直将、大嶺翔太、宮城只利康
4試合:投球回数36 打者129 被安打14 自責点2 奪三振18 与四死球11
防御率0.50 被安打率3.50 奪三振率4.50 与死四球率2.75
※主戦投手1:花城直将(3年、175、65、右右)
4試合:投球回数29 打者97 被安打9 自責点1 奪三振12 与四死球8
防御率0.31 被安打率2.79 奪三振率3.72 与死四球率2.48
※主戦投手2:大嶺翔太(3年、180、80、右右)
2試合:投球回数6 打者24 被安打5 自責点1 奪三振5 与四死球3
防御率1.50 被安打率7.50 奪三振率7.50 与死四球率4.50
◆打撃・守備成績
4試合:35回 141打数 46安打 20打点 17三振 22四死球 7犠打 6盗塁 42残塁
3失策 3併殺
打率0.326 総得点23 得点率5.91 総失点2 失点率0.50 得失点差率5.41
※長打(10本)
三塁打=大嶺、宮良、天願、加藤次(4本)
二塁打=宮良2、天願2、花城、北倉(6本)
◇注目の野手
大嶺翔太 (3年、三塁、180、80、右右)
宮良当太郎(3年、外野、175、75、左左)
有力な優勝候補と言われ続けてきた八重山商工もまた、4強中唯一のノーシードながらも順当な勝ち上がりだと言えるでしょう。投攻守に沖縄屈指の実力校と評されながら中々結果を残せなかった今期の八重山商工ですが、いよいよ今夏、その本来の能力を発揮しつつあります。特に3回戦で前原との延長戦を制した経験は、今後に大きな弾みを付けた事でしょう。
まず投手陣ですが、 これまでの4試合の成績は失点がわずか2で防御率は0.50。 特筆すべきは被安打率で、9イニング平均では3.50と、好投手が揃う4強の中でも群を抜く数字を残しています。 中心になるのは花城直将と大嶺翔太の両右腕で、 花城は奪三振率こそ3.72と高くありませんが、 防御率が0.31、被安打率は脅威の2.79を誇ります。 2回戦の南風原戦ではノーヒットノーランを達成したように、彼もまた今夏沖縄を沸かせ続ける凄い投手の一人と言えるでしょう。 注目の大嶺は3回戦の前原戦こそ先発しましたが、まだまだ真価を発揮出来ていません。 それでも防御率1.50と粘りの投球を見せており、 3年ぶりの頂点を掴む為には大嶺の復活が待たれます。
打線に関しては これまで4強中最高の チーム打率0.326を残し、 盗塁も トップの6個を記録。 選んだ四死球もダントツの22個で、打点・得点率・長打数でも高数字を示しています。今大会好調を維持している 宮良当太郎・天願陽介といった左のスラッガーに、 4番の加藤次郎や打撃センスの高い西里光盛らの活躍も光ります。 ただ残塁も4強中トップの42個で、未だ実力を充分に出せていない面が見受けられます。 しかし このチームの攻撃力が図抜けているのは誰もが認める所。投手同様に、打者としての大嶺の復調も待たれます。
守備に関しては、 これまで失策が3個。 これは4強の中では興南に続く好成績で、併殺も3個を記録しています。今期の八重山商工は内外野ともに非常に鍛え抜かれており、特に連携プレーにおいては驚くような隙の無さを見せてくれます。総合力で極めて高い力を持つ同校ですが、準決勝以降はやはり大嶺翔太が鍵となるでしょう。彼が爆発したならば、 栄冠もおのずと手にしていると思われます。
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◇沖縄水産高校
試合数:4
準々決:2ー1本 部
3回戦:1-0石 川[延長11回]
2回戦:6-0西 原
1回戦:10-0那覇西[5回コールド]
◆投手成績
全登板投手:比嘉智哉、知念績太
4試合:投球回数34 打者122 被安打17 自責0 奪三振30 与四死球1
防御率0.00 被安打率4.50 奪三振率7.94 与死四球率1.06
※主戦投手1:比嘉智哉(3年、179、77、右右)
2試合:投球回数16 打者56 被安打6 自責点0 奪三振17 与四死球4
防御率0.00 被安打率3.38 奪三振率9.56 与死四球率2.25
※主戦投手2:知念績太(3年、173、70、左左)
2試合:投球回数18 打者62 被安打11 自責点0 奪三振13 与四死球0
防御率0.00 被安打率5.50 奪三振率6.50 与死四球率0.00
◆打撃・守備成績
4試合:32・2/3回 111打数 26安打 15打点 9三振 16四死球 9犠打 5盗塁 22残塁
5失策 5併殺
打率:0.234 総得点19 得点率5.34 総失点1 失点率0.26 得失点差率5.08
※長打(7本)
三塁打=山城明、崎枝、下地(3本)
二塁打=比嘉秀、山田、上原、玉城英(4本)
◇注目の野手
比嘉秀斗(3年、捕手、180、79、右右)
山城明久(3年、中堅、171、65、右左)
春季県大会準優勝校で第3シードの沖縄水産は、苦しみながらも堂々の4強入りを果たしました。特に3回戦の石川戦、準々決勝の本部戦と厳しい戦いを乗り越えた事で、非常に大きな勢いが付いたと思われます。
その沖縄水産で特筆されるのが投手陣。 これまでの4試合で 防御率は 興南と並ぶ0.00、与死四球率も4強中トップの9イニング平均1.06を誇ります。 エース比嘉智哉は威力抜群のストレートに安定感が加わり、防御率0.00・奪三振率9.56・被安打率3.38と素晴らしい成績を残しています。 特に課題とされていた制球力に大きな進化を遂げた点は大きく、1回戦の那覇西戦では参考記録ながらノーヒットノーランを記録し、3回戦では延長11回を投げ抜き見事完封勝利を飾りました。 そしてもう一人の主力投手・左腕の知念績太が 比嘉智に負けず劣らずの実力を発揮しており、 これまでの2試合とも 9イニング無四球完投で 防御率も0.00を記録しています。 この両輪の今夏の完成度は極めて高く、 好投手ひしめく4強の中でも最強の布陣と言えるでしょう。
打線はチーム打率が4強中最も低い0.234で、 打点・長打数も高くはありません。 しかしこれは3回戦以降に、 石川の比嘉吉人・安里賢弥や本部の饒平名巧やといった優れた投手達と僅差の死闘を演じた為で、 打力自体はむしろ強力だと言えます。2回戦では西原の池味翔也・榮哲平といった好投手を打崩し、5盗塁に9犠打を絡める多彩な攻撃力で 得点率は5.34と高い数値を残しています。 好機に強い3番の山城明久に、 上原大和・崎枝大貴の1・2番コンビは卒が無く、 比嘉智は外野手としてもクリーンナップを任されます。 主砲・比嘉秀斗の爆発力が鳴りを潜めてますが、 彼本来の打撃が戻れば再び強打のチームが復活するでしょう。
守備は5失策を記録していますが併殺も5つと基本的に鍛えられており、 強力投手陣を擁して総合力も高い沖縄水産は 11年ぶりの夏甲子園を 掴めるムードを 大きく漂わせています。
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◇中部商業高校
試合数:4
準々決:7-1コ ザ
3回戦:10-2美来工[7回コールド]
2回戦:4-1浦添商
1回戦:3-2嘉手納
◆投手成績
全登板投手:根間孝太、比嘉一史、熊本譲、宮城一慶
4試合:投球回数34 打者130 被安打18 自責点6 奪三振37 与四死球9
防御率1.59 被安打率4.76 奪三振率9.79 与死四球率2.38
※主戦投手:根間孝太(3年、178、76、右右)
3試合:投球回数27 打者100 被安打15 自責点4 奪三振32 与四死球8
防御率1.00 被安打率5.00 奪三振率10.67 与死四球率2.67
◆打撃・守備成績
4試合:31回 121打数 37安打 24打点 26三振 11四死球 9犠打 0盗塁 24残塁
3失策 0併殺
打率0.306 総得点24 得点率6.97 総失点6 失点率1.59 得失点差率5.38
※長打(11本)
本塁打=仲里孝3、山川(4本)
三塁打=仲里孝、山川2、嶺井、上間、(5本)
二塁打=山内、稲嶺(2本)
◇注目の野手
山川穂高(3年、外野、175、85、右右)
仲里孝也(3年、外野、172、73、右左)
春季県大会優勝校で今夏も有力な優勝候補の第2シード・中部商は 激戦ブロックをクリア、実力通りの4強入りを果たしました。 今夏の中部商は初戦・2回戦と序盤戦から強敵を相手にする組合せとなりましたが、 1回戦の嘉手納戦で 大会屈指の2年生右腕・池原有を仲里孝也の2本塁打等で撃破すると、 次戦では前年度優勝校の浦添商にも仲里の3号と山川のソロの2発で快勝して地力の高さを見せ付けました。
圧倒的な強打が目立つ今夏の中部商ですが、それにも増して、エース根間孝太の投球には目を見張るものがあります。これまで3試合に登板して、防御率1.00・被安打率は5.00。そして何よりも凄いのが10.67を記録した奪三振率で、これはあの興南の奪三振マシーン島袋洋奨の数字をも上回ります。球威抜群のストレートに加え切れ味鋭いスライダーがいっそうの安定感を増し、気迫溢れる投球スタイルで対戦相手を圧倒して来ました。
打線は右のスラッガー・山川穂高と左の強打者・仲里孝也を中心に、 トップの嶺井琢磨や5番・糸数翔、 下位の上間智晴・山内智晴ら蒼々たる強打者が並びます。とりわけ山川の圧倒的強打は県内でも群を抜き、 今大会3本塁打を記録した仲里孝のセンス溢れる打撃と共に相手校にとってはかなりの脅威です。 4本塁に加えて5本の三塁打など長打の数では4強の中でもダントツを誇る中部商打線。9イニング平均の得点率も6.97と4強中トップで、9犠打を絡める手堅さに加え3割を超える打率はもちろん 残塁数の少なさからも抜群の攻撃力が伺えます。とにかく打線の破壊力では沖縄一とも言える中部商の攻撃は見所満載です。
打力に隠れがちですが守備も4試合で失策3と安定しており、強力な本格派エースと屈指の打線、優れたディフェンス力を擁する中部商は、 選手個々の力量から言えば今夏沖縄でも最も甲子園に近いチームと言えるでしょう。
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以上、 今夏沖縄大会4強進出各チームの戦力を分析しましたが、 各チームとも非常に高い総合力を有します。とりわけ4校とも投手陣がかつて無い程のハイレベルで、準決勝以降の勝敗の行方は全く予測出来ません。夏の沖縄大会でかつてこれほど高い力量で拮抗した4強が揃った事があるでしょうか? ですからここまで来たら、球運を引き寄せる気持ちの強さが勝敗を左右してくるのでしょう。いずれにしても、文字通りベストの沖縄4強が残りました。準決勝進出4校のナインは決して悔いを残さぬ様、これまで鍛錬してきた己の力を全てぶつけて完全燃焼の集大成を迎えて欲しいと思います。
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Posted by neogaia at 19:05
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