ネオ・オキスタ:夏の沖縄高校野球　序盤戦を終えて

2008年07月04日

夏の沖縄高校野球　序盤戦を終えて

[宮古のエース･垣花慶彦投手は、再試合を含む延長2試合を投げ抜いた]
　　

第90回全国高校野球選手権記念沖縄大会も今週末には8強が決まり、日曜日には準々
決勝、そしていよいよ来週の土曜・日曜には準決勝・決勝が行われ、晴れの代表校が決ま
ります。今大会は延長再試合で幕を開けるなど初日から激闘が相次ぎましたが､大会8日
目を終えて序盤戦を振り返り、中盤戦の展望を述べて見たいと思います。

今大会の開幕ゲーム「宮古vs浦添工業」は、宮古のエース・垣花慶彦投手と浦添工の2
年生本格派右腕・運天ジョン・クレイトンの投げ合いとなりました。息詰まる投手戦は0-0
のまま互いに譲らず延長15回引き分けとなり、翌日行われた再試合では、宮古の垣花
投手が2試合でなんと276球を投げ抜く鉄腕ぶりを発揮して浦添工を下しました。宮古は
2回戦の浦添戦でも再び延長戦を戦います。ここでも垣花投手は12回を投げ1失点で浦
添を下しました。同じ浦添勢との3連戦となった3回戦の浦添商戦では、序盤に先制3ラン
等大量リードを許すも中盤以降持ち直し、優勝候補の浦添商を苦しめました。結局8強を
前に涙を飲んだ宮古ですが､大会序盤では最も熱い戦いを魅せたチームと言えるでしょう。

大会初日北谷球場の第2試合「八重山商工vs中部商業」は、新人大会優勝・秋季大会準
優勝・春季大会準優勝と優れた実績を誇る第3シードの中部商がコールドで敗れるという、
衝撃の結果となりました。この試合､序盤は拮抗した展開が続きましたが中盤に八重山商
工打線が爆発。中部商は繰り出す4投手がことごとく炎上するというショッキングな展開
で初戦で涙を飲みました。同じく1回戦で行われた「那覇西vs首里」でも、第4シードの
首里が初回に先制するも中盤に逆転を許し、初戦敗退となりました。シード2校の他にも、
今大会は有力校の初戦敗退が目に付きました。投打に厚い選手層を誇る前原は、具志
川の前に延長11回で敗れました。この試合、具志川のエース前濱元気投手の投打に渡
る活躍が目に付きました。山城龍馬･仲尾次浩大と複数の本格派右腕を擁し総合力も高
かった糸満は、名護の前に無念の7回コールドで敗れ去りました。その他、小禄・普天間・
北谷・名護商工・北中城・与勝といった有力校も初戦敗退となり、今大会のレベルの高さ
を伺わせました。

2回戦を沸かせたのは那覇と読谷。初戦､島袋佑也投手の完封で普天間を下した那覇は、
2回戦では西銘竜基投手の好投で沖縄水産を下しました。惜しくも3回戦では石川の前
に延長の末サヨナラ負けを喫しましたが､鍛えられた爽やかなプレーが印象に残りました。
読谷は初戦で陽明をコールドで下すと、 2回戦では2年生エースの池原翔也投手が強打
の南部工に1-0の完封勝ち。 3回戦では強豪・具志川商の前に9回サヨナラ負けを喫しま
したが、その実力を存分に発揮しました。首里東は大池佑介選手らを軸とした強打で、初
戦・球陽、2回戦・伊良部と相手を打ち崩してきましたが、 3回戦では知念との激しい打撃
戦の末に涙を飲みました。
2回戦でも有力チーム･話題のチームが続々と姿を消しました。快進撃が続く八重山勢
の中でも期待の高かった八重山は、好投手の小禄津祐選手を擁するも名護に敗れまし
た。好投手の真喜屋駿選手を軸に 1年生の有力選手を揃えて話題になった嘉手納は沖
縄工に完封負けを喫しました。同じく1年生中心で初戦突破を果たした真和志は中部農
との2回戦、延長11回サヨナラで敗れました。圧倒的な運動能力を有する島井寛仁選手
を擁し、1.2年生にも有望選手を揃える西原は、 2回戦で八重山農林の強打の前に敗れ
去りました。初戦驚くべき強打で与勝を下した南部工も2回戦で読谷に敗れました。初戦
快勝の宜野座、伊良部、シード首里を下した那覇西や、前原を下した具志川もそれぞれ
2回戦で敗退しました。

また今大会は有望な1年生が多く目に付きました。早くも頭角を現した選手には、嘉手納
の池原有・真謝博哉、西原の池味翔也・島袋翼、興南の島袋洋奨・砂川大樹、真和志の
久田大貴、美里の儀間弘樹･大城武直、前原の宮里勝輝、八重山農林の多宇雄飛らが
挙げられます。有力校では第1シードの浦添商、実力校の石川・具志川商・知念がそれ
ぞれベスト8進出を果たし、第2シードの沖縄尚学､実力校の八重山商工・興南・沖縄工・
名護・本部も3回戦進出を果たしています。特筆されるのは中部農林と八重山農林の3
回戦進出。なかでも八重山農林は、エースで主砲の外間優選手を軸とした強打が凄ま
じく、今大会では旋風を巻き起こしています。

[八重山商工の核弾頭･金城賢貴選手は､強打で打撃のチームを引っ張る]

以下、 7月5日から始まる終盤戦における、現時点での展望を述べて見たいと思います。

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まず第1シードの浦添商業ですが、これまでの戦いぶりを振り返って見るとまだまだ投打
に本領を発揮しているとは言えません。エース伊波翔悟の圧倒的な実力に関しては語る
までもありませんが､初戦で精彩を欠いた上地時正らの投手陣の復調が待たれます。打
線に関しても主砲の山城一樹を中心に相変わらずの強打を披露していますが､全体的
に打線が繋がれば更なる得点力のアップが見込まれます。また自慢の二遊間を中心と
した守備にも失策が目立ち、投攻守ともに建て直しが望まれます。準々決勝以降で細か
な点が整備されれば､総合力では群を抜くだけに優勝に最も近いチームと言えるでしょう。

第2シードの沖縄尚学は、現時点では文句なく優勝候補筆頭です。エース東浜巨は、以
前にも増して力強さが備わり 2試合で15イニング25奪三振の無失点という内容。攻撃
陣も主砲・仲宗根一晟を中心にこれまでの2試合で本塁打を含む8本の長打を放ち､一
層の破壊力が増しました。バリーエーション豊富な攻撃力に洗練された守備は隙が無く、
これほど完成度の高いチームも珍しいでしょう。気がかりは東浜以外の投手陣。これか
ら先の厳しい戦いを東浜投手1人で乗り切る事も可能でしょうが、やはり左腕の上原亘
の復調や上江洲圭らの登板も望まれます。ただ､それでも浦商と共に力は抜けています。

八重山商工・興南・名護・沖縄工・具志川商・石川・知念・本部は、この夏の戦力アップが
目ざましく、いずれも優勝の可能性を秘めていると言えます。八重山商工は、とにかく打
線の破壊力が凄まじく､金城賢貴・浦崎善斗・知花寿人・宮良当太郎らの長打力と一球
必打の集中力は脅威です。投手陣はエース左腕の波平浩太がこの夏は抜群の安定感
を披露していますが、波平以外の投手陣の実力が未だ未知数です。興南は、強打者の
砂川匠吾ら去年からの主力が数名残り､新たに1年生の好投手が複数加わって大幅に
戦力が高まりました。去年夏を制した我喜屋監督の手腕は勿論、夏の興南は怖い存在
です。名護は右腕･島袋啓太投手と左腕･棚原拓也投手の抜群の変化球を軸とした投球
に注目です。打線もバリエーション豊かな攻撃を見せ、投攻守に質の高さが伺えます。
名護は総合力ではトップクラスのレベルの高いチームと言えます。沖縄工業は投打に
抜群の才能を見せる宮城貴浩と金城兵理の投手陣が安定しており、打線も強力。今年
のチームは頂点も狙えます。具志川商業は、好投手・徳田貴徳の成長が目覚しく､強力
打線と機動力で浦添商に挑みます。石川は､この夏はエースの山城郁也が本来の調子
とは言えませんが、活発な打線と得点能力の高さは相変わらずです。知念はこれまで
3試合連続で 2桁安打の2桁得点を奪った打線の破壊力が目を引きます。投手陣も左
腕エースの仲宗根武志に成長著しい2年生右腕の勢理客一誠が揃い、投打ともに要注
目のチームです。本部は2年生のサイドスロー･饒平名巧の抜群の投球術が光ります。
主砲・並里康明を中心とした打線も好打者揃いで、3回戦ではこの夏の全てを賭けて王
者・沖縄尚学に挑みます。また、この夏旋風を巻き起こしている八重山農林・中部農林
の戦いにも要注目です。

これから先もやはり沖縄尚学・浦添商業の2強を軸に展開されて行くと思われますが、
ここまで残ったチームはいずれも高い実力を秘めた強豪揃い。どこが勝ち上がっても
おかしくありません。特に沖縄尚学は3回戦で本部､準々決勝では沖縄工業が予想され、
結構厳しい連戦となります。準決勝では八重山商工・興南・名護の3校から抜けて来る
であろうチームとの対戦が予想され、これも予断を許せません。浦添商も準々決勝の
具志川商業と準決勝で対戦が予想される石川・知念の勝者は､一筋縄では行かない相
手です。激闘2008夏沖縄。この7月は例年以上に暑さと熱さが身に応える事でしょう！

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沖縄大会の全試合・トーナメント表
http://neogaia.ti-da.net/e2158567.html

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第90回全国高校野球沖縄大会・試合結果（8日目）
http://neogaia.ti-da.net/e2190019.html

第90回全国高校野球沖縄大会・試合結果（7日目）
http://neogaia.ti-da.net/e2188781.html

第90回全国高校野球沖縄大会・試合結果（6日目）
http://neogaia.ti-da.net/e2188776.html

第90回全国高校野球沖縄大会・試合結果（5日目）
http://neogaia.ti-da.net/e2179527.html

第90回全国高校野球沖縄大会・試合結果（4日目）
http://neogaia.ti-da.net/e2178004.html

第90回全国高校野球沖縄大会・試合結果（3日目）
http://neogaia.ti-da.net/e2170376.html

第90回全国高校野球沖縄大会・試合結果（2日目）
http://neogaia.ti-da.net/e2169217.html

第90回全国高校野球沖縄大会・試合結果（1日目）
http://neogaia.ti-da.net/e2167993.html

第90回全国高校野球選手権記念沖縄大会　開会式
http://neogaia.ti-da.net/e2167969.html

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第90回全国高校野球沖縄大会の展望.1 (浦添商ブロック)
http://neogaia.ti-da.net/e2160327.html

第90回全国高校野球沖縄大会の展望.2 (首里ブロック)
http://neogaia.ti-da.net/e2161175.html

第90回全国高校野球沖縄大会の展望.3 (中部商ブロック)
http://neogaia.ti-da.net/e2162824.html

第90回全国高校野球沖縄大会の展望.4 (沖尚ブロック)
http://neogaia.ti-da.net/e2162838.html

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第90回全国高校野球沖縄大会・注目の投手達
http://neogaia.ti-da.net/e2166038.html

第90回全国高校野球沖縄大会・注目の野手達
http://neogaia.ti-da.net/e2166015.html

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最後の夏　そして笑顔
http://neogaia.ti-da.net/e2195205.html

7月
http://neogaia.ti-da.net/e2191369.html

かけ足の夏
http://neogaia.ti-da.net/e2187139.html

この一球に、かける夏。
http://neogaia.ti-da.net/e2184541.html

あの日
http://neogaia.ti-da.net/e2182771.html

ひと夏に感謝を込めて
http://neogaia.ti-da.net/e2174825.html

浦商ラッパ隊
http://neogaia.ti-da.net/e2173422.html

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Posted by neogaia at 19:00 │沖縄高校野球

この記事へのコメント

初めまして。いつも楽しく拝見させていただいてます！
私は去年まで那覇西で女子部員としてプレーしていた者です。今回も那覇西を高く評価していただきありがとうございます。
去年の春ベスト８に入った私たちですが,喜びとは逆に周りからはくじ運じゃないかと言われました。
なんとか強さを証明したくて臨んだ夏でしたが,一回戦コールド敗退。やはりくじ運だったんだと批判される中,あなただけは違いました。ちゃんと私たちを評価してくれました。
世の中にはちゃんと見ていてくれてる人もいるんだね。と,みんなで感動しました(笑)我々野球部一堂はあなたに本当に感謝しています。
今回はお礼が言いたくて書き込みました。本当にありがとうございます！

Posted by 元球児 at 2008年07月06日 08:34

＞元球児さん

初めまして。
拙ブログを運営しているneogaiaと申します。
いつも拝見されておられるとの事で、
そしてコメントまで頂き、心から感謝申し上げます。
また返信が遅くなった事をお詫び申し上げます。

元球児さんは、あの時の那覇西の女子部員だったのですね。
去年の那覇西の試合で、私も一度だけスタンドでお見かけしました。
新聞かTV？でも採り上げられた事があったのでは無いでしょうか？
一所懸命頑張る姿は男子部員のお手本でもあり、それだけでなく、
その実力にも確かなものがある･･･と紹介されてた様な気がします。

私は去年の春季大会での那覇西の見事な戦いぶりも見ましたし、
夏の普天間との戦いも見ました。普天間戦は残念でしたが、
それでも鍛えられたプレーからは弱さは感じられませんでした。
去年夏の普天間の打撃は、個人的に沖縄一だと評価してましたし、
それでも仮に那覇西投手陣が2回戦以降で対戦していたならば、
あのような集中打は浴びなかったでしょう。那覇西には初戦の
気負いもあったでしょうし、いきなりの猛打に飲まれてしまい、
地に足の着かぬまま、あっという間に終わった感じだったのでは？
ただ下級生に好選手が目立つ那覇西には今後の期待が高まりました。

さて今年の那覇西ですが、勿論素晴らしいチームでしたし、
各校の監督さん達の評判も良くて、私も結構注目していました。
しかし初戦首里とは好ゲームになるだろうと思ってはいましたが、
大変失礼ですが、勝つ可能性は首里の方が高いと思っていました。
彼らの今までの計り知れない努力と高校野球に賭ける熱い思いが
結集された今夏の初戦は、まさにベストゲーム！あっぱれです！
それは決してフロックでは無く、正真正銘、実力での勝利です！
照屋監督も、今チームにずっと大きな手応えを感じていたでしょう。

あの様な那覇西野球部で高校野球を全う出来た元球児さんは、
本当に幸せだと思います。あれだけのプレーが出来る選手達を、
そして那覇西高野球部を、これから先も誇りに持って下さい。
そしてまた野球部の仲間達や先生方も、元球児さんの事を誇りに
思っている事でしょう。元球児さんの高校野球に対する愛情は、
誰にも負けないと思われます。きっと強い心の持ち主なのでしょう。

これから先も、那覇西野球部の躍進に注目してみます。
今回は勿体無くもお礼を頂き、改めて感謝申し上げます。
元球児さん、今後も｢ネオ･オキスタ｣を宜しくお願い申しあげます。
そして些細な事でも良いですから、これからもコメント下さいネ！

Posted by neogaia at 2008年07月10日 00:58

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ネオ・オキスタ

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