ネオ・オキスタ

[2008年10月11日/ 沖縄高校野球秋季大会閉会式後、北谷球場にて。]


　第58回沖縄県高校野球秋季大会は 興南高校が6度目の優勝を飾り、幕を閉じました。長
い間沖縄高校野球界の強豪として知られきた興南高校ですが、 秋季大会に関しては 20年
間も優勝から遠ざかっていました。 過去の黄金期には 竹下投手世代や仲田幸投手世代に
甲子園での優勝候補に 名を連ねた事もあった興南高校ですが、 今期のチームも全国的な
強豪校に成り得る可能性を大いに秘めています。



[興南のまとめ役としても主砲としてもチームを引っ張る､冨里川奨也主将]


　今期のチームは1年生の多い若いチームですが､ 非常に高い総合力を持っています。 特
に1年生エースの左腕・島袋洋奨を中心とした投手陣は、かなり充実しています。 今大会で
フル回転の活躍をした島袋は、 切れのある直球と変化球､ そして優れた制球力を武器に防
御率0.367と、抜群の成績を残しました。 同じ1年生左腕の砂川大樹も 安定感があります。
そして 去年夏の甲子園のマウンドを踏んだ2年生の大型右腕・石川清太も長期の不調から
の復活の兆しを見せており、 今大会では魅力的な快速球を披露しました。 この石川に以前
の投球スタイルが戻れば、興南投手陣は一層磐石なものになります。

　野手陣も攻守にレベルの高い選手達が揃います。1年生捕手の山川大輔はチーム内でも
突出した運動能力で、鋭いフットワークと強肩を見せました。 そして7番打者ながらパンチ力
のある打撃で、好機での勝負強さを発揮しました。
　1年生一塁手の眞榮平大輝は左の大型スラッガーで、 打球の速さと長打力ではチーム内
でも群を抜いています。 今期は脅威の6番打者として各チームから恐れられました。 1年生
ながらトップバッターを任される二塁手の国吉大陸は、 小柄ながら 長打力と俊足･小技を持
ち合わせ核弾頭として活躍しました。 主将で三塁手の冨里川奨也は前期からの主力で､ 攻
守にセンスの良さを伺わせます。 前期からクリーンナップに座り、今期も4番を任される打力
は確実性が高く、スタンドインを放てるパワーも見せ付けました。 今期は主に遊撃手としてス
タメン入りした與那嶺伸弥は、 広い守備範囲と強肩・フットワークで､ 強豪・興南のショートス
トップとして充分な動きを見せました。また2番打者としても器用さを伺わせ、いぶし銀的な働
きが光りました。
　左翼手の安慶名舜は 1年生ながら3番打者を任される等､優れた打力を誇ります。 がっち
りとした体格からの豪快なスイングで強打を連発､ チャンスでも確実性の高い打撃でポイント
ゲッターとしての役割を果たしました。 中堅手の慶田城開も 1年生ながら既に名門・興南の
主力メンバーとして定着しています。 俊足で運動能力高くて積極性もあり､ 打撃では下位を
任されるも、主軸並の働きで興南打線に厚みを持たせました。 投手としての活躍も期待され
る右翼手の石川清太は､ 野手としても素質の高さを伺わせます。 特に外野守備においては
その強肩ぶりが圧巻で、クリーンナップを任される打撃においても、前期からも主力として活
躍したように非常に高いセンスを有します。 速球にも緩い変化球にも難なく対応出来る柔軟
性に、長いリーチを活かした長打力は強打・興南の中でも一際輝きます。

　同じく投手としても注目される1年生外野手の伊禮伸也は､ 恵まれた体格からの鋭い打球
が驚異的です。 故障で今大会ベンチ入りを外れた遊撃手の大湾圭人 もほぼ復活を見せて
おり､ 九州大会ではスタメンの可能性も高いでしょう。 層の厚い内野陣は、他にも大型内野
手の1年生・宮國弥也や､走攻守に動きの良い宜保龍平ら優れた選手がスタメン入りを競い、
去年夏に1年生ながらスタメンで活躍した山元弘太も故障からの回復に余念が無く、再起を
目指します。



[素質豊かな興南1年の中でも キーマンとして期待される、山川大輔選手]


　去年は監督就任わずか4ヶ月足らずで興南を夏の甲子園へ導いた名将・我喜屋優監督で
すが、今期は一層、その優れた手腕に期待が集まります。 特に今の1.2年生は全て、監督
自らが最初から育てた選手達で構成されるメンバー。 我喜屋野球が染込んだ 初の選手構
成とも言えるだけに、若いチームとは言え、野球に対する心得が充分備わっています。中央
の社会人野球界で実績を残した名将も､高校野球の指導者に席を置いてからの1年半は様
々な戸惑いがあった事でしょう。しかし今後は本来の能力を遺憾なく発揮して、古豪･興南の
復活は勿論､同校をかつて無い程の強豪校へと育て上げると思われます。 とりあえず 来る
九州大会での 智将の名采配が非常に楽しみです。 そして､ナインは若さを存分に発揮して、
九州大会でも一歩一歩着実に力を伸ばして、1983年春以来 26年ぶりの選抜出場を是非
果たして欲しいと願います。夢に向かってチバリヨー、興南ナイン！



[2008年10月11日/ 沖縄高校野球秋季大会閉会式後、北谷球場にて。]


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