2008年12月03日

1975年第57回全国高校野球選手権/石川vs浜松商


[1975年夏甲子園 / 石川・糸数勝彦投手は逆転サヨナラ本塁打を喫した]


▽プレイバック甲子園.4

第57回全国高校野球選手権大会

昭和50年8月13日:阪神甲子園球場

▽2回戦

石  川 120 100 100 - 5
浜松商 100 001 202x- 6

(石)糸数 - 伊芸
(浜)細田、鈴木 - 上村

本塁打=高林(浜)
二塁打=久高(石)、高林(浜)

糸数: 08回2/3 打者39人 被安打08 奪三振04 与四死球04 自責点04 
細田:2/3回    打者05人 被安打01 奪三振01 与四死球02 自責点01
鈴木: 08回1/3 打者39人 被安打09 奪三振03 与四死球05 自責点03

併殺:石川1、浜松商1
暴投:細田、鈴木

試合開始:12時54分 試合終了:15時09分 試合時間:2時間15分


------------------------------------------------------------------------

 春に続き、夏までも・・・

 昭和50年。 沖縄国際海洋博覧会が開かれたこの年は、 沖縄高校野球界が非常に盛り上
がった年でもありました。春のセンバツでは初出場の豊見城高校がベスト8進出。そして夏の
甲子園に初出場を果たした石川高校もまた、沖縄県民を大いに沸かせてくれました。

 この年の沖縄には、多くの好投手が揃いました。春の甲子園で一躍名を馳せた豊見城高校
の2年生右腕・赤嶺(巨人)に、 興南高校の前泊(日産自動車横浜-大洋ホエールズ)、 読谷
高校の知花、 そして石川高校の大型速球派右腕・糸数(太平洋クラブライオンズ・クラウンラ
イターライオンズ)。 やがて迎えた夏の沖縄県大会。この年の沖縄野球ファンの多くは、選抜
で大活躍した豊見城高校の春夏連続甲子園出場に 大きな期待を寄せていました。 ところが、
その豊見城高校は 準決勝でコザ高校に3-4で敗退。 そして雷雨ノーゲームとなった決勝再
試合の激闘を8-1で制して初の甲子園切符を手にしたのは、石川高校でした。

 初出場とは言え 激戦が展開された沖縄大会を勝ち抜いた石川高校は、甲子園でもその高
い実力を発揮。投打に力を見せ付けて初戦の新潟商業戦を快勝、沖縄県民のほとんどが春
の豊見城高校に勝るとも劣らない期待を寄せるようになりました。そして、迎えた2回戦。相手
は 静岡の名門・浜松商業。 この試合でも石川高校は序盤から試合を優位に展開して、初戦
以上の快勝劇を予感させてくれました。 ところが・・・

 またしても9回裏2アウトからの悪夢・・・

 初回二死三塁から喜納の右中間適時打で先制した石川は、二回にも久高の左前2点適時
打で追加点を挙げて試合の主導権を握りました。 更に四、七回にも1点ずつ追加点を挙げる
も、粘る浜松商は、3点差の7回裏に3安打を集中して2点を挙げました。そして5-4の1点差
で迎えた9回裏。浜松商のこの回の先頭打者が失策で出塁すると、石川のエース・糸数も気
迫の投球で 二死まで追い込みました。 あと1人のこの場面で 迎えた打者は、この打席まで
4打数2安打2打点と当たっていた3番の高林。その高林が0-1からの2球目を振り抜くと、左
打席から放たれた打球は快音を残し逆風の中右翼ラッキーゾーンへ・・・ 大会史上初めての
逆転サヨナラ本塁打を喫した石川は、 6-5で浜松商の前に涙を飲みました。 長短10安打を
放つなど、果敢な攻撃で勝利を目前にしながらの まさかの敗戦。 不用意にストライクを取り
に行ったとは言え、糸数投手にしてみれば非常に悔いの残る一球でした。

 この年春の豊見城に続いて、 夏の甲子園でも9回裏2死からの逆転サヨナラ負けを喫した
沖縄勢 ( 参考:1975年第47回選抜高校野球/豊見城vs東海大相模 )。 当時の新聞では
「また沖縄勢に魔の9回」等の見出しが躍りました。 とは言え、歴史に残る激闘を演じた石川
ナインには、甲子園のファンからも、 そして多くの沖縄県民からも惜しみない拍手が送られま
した。今にして思えば、この「昭和50年春夏・悪夢の逆転劇」が現在の沖縄高校野球界発展
における大きな要因の一つだったと言えるのかもしれません。当時の右腕エース・糸数勝彦
投手は、 その年秋のドラフトで太平洋クラブライオンズ(現・西武ライオンズ)から2位で指名
を受け、 プロ野球の世界へ飛び込みました。 ちなみに沖縄勢と浜松商業との対戦は、13年
後の1988年夏の甲子園準々決勝で再び実現。 この時対戦した沖縄水産は、 奇しくも9回
裏の逆転サヨナラで浜松商業を下し、 栽弘義監督は初の甲子園4強入りを成し遂げました。 


対浜松商業戦の石川試合出場メンバー

部長.川小根徳治 / 監督.大城朝啓
01.遊.泉川  寛晃 5打数0安打0打点1三振0四球
02.中.久高  唯文 4打数2安打2打点1三振1四球
03.二.伊波  哲郎 4打数1安打0打点2三振1四球
04.一.喜納  達也 4打数2安打1打点0三振1四球
05.投.糸数  勝彦 4打数1安打0打点0三振1四球
06.捕.伊芸  哲司 4打数2安打0打点0三振0四球
07.左.若津  武徳 4打数1安打0打点0三振1四球
08.三.伊波  増和 3打数1安打1打点0三振1四球
09.右.伊波  幸夫 2打数0安打0打点0三振1四球


※ この年夏の甲子園は、 大型右腕の小川淳司投手(中大-河合楽器-ヤクルト-日ハム)らを
  擁する習志野(千葉)が、新居浜商業(愛媛)を破って2度目の優勝。
  ちなみに習志野は 同年春選抜では、 沖縄県代表の豊見城に初戦完封負けを喫しました。

  1975年第47回選抜高校野球/豊見城vs習志野
  http://neogaia.ti-da.net/e2104385.html


 なお、この夏の甲子園での石川高校の初戦の結果は下記の通りです。


------------------------------------------------------------------------


第57回全国高校野球選手権大会

昭和50年8月8日:阪神甲子園球場

▽1回戦

石  川 000 121 000 - 4
新潟商 210 000 000 - 3

(石)糸数 - 伊芸
(新)青木 - 平井、吉田

三塁打=泉川、久高(石)
二塁打=泉川、糸数(石)、青木(新)

糸数: 09回 打者38人 被安打06 奪三振08 与四死球05 自責点02 
青木: 09回 打者39人 被安打08 奪三振03 与四死球02 自責点03

暴投:糸数

試合時間:2時間24分


 石川は同点の六回表二死2塁、 泉川の遊ゴロ失策の間に2走が生還し 決勝点を挙げまし
た。 エース糸数は序盤こそ失点を許しましたが、 三回以降は速球とカーブが冴えて無失点
に抑え込みました。この試合、5打数2安打の1番・泉川は三塁打1本、二塁打1本の大活躍。
ちなみにこの日の1勝は、 昭和43年に4強進出した興南旋風以来7年ぶりの沖縄勢夏の勝
利となりました。


対新潟商業戦の石川試合出場メンバー
部長.川小根徳治 / 監督.大城朝啓
01.遊.泉川  寛晃 5打数2安打0打点1得点0三振0四球
02.中.久高  唯文 5打数1安打1打点1得点0三振0四球
03.二.伊波  哲郎 5打数0安打0打点0得点1三振0四球
04.一.喜納  達也 4打数0安打0打点0得点0三振0四球
05.投.糸数  勝彦 2打数1安打1打点1得点0三振2四球
06.捕.伊芸  哲司 3打数1安打0打点0得点2三振0四球
07.左.若津  武徳 4打数1安打1打点0得点0三振0四球
08.三.伊波  増和 3打数1安打0打点1得点0三振0四球
09.右.伊波  幸夫 3打数1安打0打点0得点0三振0四球


------------------------------------------------------------------------


▽プレイバック甲子園

1975年第47回選抜高校野球/豊見城vs東海大相模
http://neogaia.ti-da.net/e2104993.html

1975年第47回選抜高校野球/豊見城vs日大山形
http://neogaia.ti-da.net/e2104979.html

1975年第47回選抜高校野球/豊見城vs習志野
http://neogaia.ti-da.net/e2104385.html


------------------------------------------------------------------------


沖縄高校野球の話題なら!
ごーやーどっとネット掲示板「高校野球」

試合画像・詳細はこちらで!
@北谷球場さん の 「沖縄の高校野球 」


-----------------------------------------------------------------------



同じカテゴリー(プレイバック甲子園)の記事