伊志嶺忠 [東北楽天ゴールデンイーグルス・捕手]
右/左・背番号48・22歳・178㎝ 78kg
桑江中-北谷高-東京情報大-2007年大社ドラフト3巡目
攻守に抜群のセンス。正捕手の座を掴め!
2007年大社ドラフト3巡目で楽天に入団した県出身のルーキー・伊志嶺忠捕手。 新入団
の今年は、スタートから久米島1軍春季キャンプに帯同し、 紅白戦や練習試合でも マスク
を被って頑張っています。
北谷時代からドラフト候補として名を馳せ、 東京情報大入学後も1年次からチームの主力
として活躍してきた伊志嶺忠選手。 今年は鳴り物入りで入団し、大卒2年目の若い正捕手・
嶋基宏選手のライバル的存在として 期待を集めましたが、 春季キャンプスタートではプロ
の高いレベルの前に実力を痛感させられる形となりました。
もともと、 その柔軟性に富んだ強打を買われての入団でしたが、今春キャンプでの紅白戦
から2月25日のヤクルトとの練習試合まで、何と12打数ノーヒット。 結局この1ヶ月は、プ
ロの投手の球筋に 四苦八苦させられました。 しかし、 その打撃センスには疑いようが無く、
正直慣れるのは 時間の問題だと思っていました。 むしろ、 彼のインサイドワークや守備が、
プロレベルでやっていけるのかに 大きな不安がありました。 まして監督は、元日本一の大
捕手で 球界の頭脳とも言える野村克也監督です。 あの厳しい知将の眼鏡に果たして叶う
のか?ただ実際に彼のプレーを目の当たりにして、その不安は消え去りました。
私は2月23日・中日との練習試合、 25日・ヤクルトとの練習試合を観戦しましたが、 彼の
プレーは 良い意味で裏切ってくれました。 まず 最も心配していたインサイドワークですが、
このキャンプで 野村監督に みっちり扱かれただけあって、 実に安心感のあるリードを見せ
てくれました。 ドミンゴのような剛球外国人から 吉崎勝のような変則左腕まで、 この2試合
だけでも 実に多様な投手達と 息の合った所を見せてくれました。 懸念されたキャッチング
に関しても、全く問題は無いと思います。 そして地を這うような低い軌道で二塁ベースに届
く送球も非常に速く、 充分にプロレベルです。 また体を張ったブロックや フィールディング
においても、きびきびとした動きを見せてくれました。
中日との練習試合では、 6回裏に 2死1塁から平田の中越え二塁打で 本塁まで激走した
一走の巨漢・小田の突撃を本塁手前で好ブロック。 ヤクルトとの練習試合では、走者を度
々刺殺しました。 特に見事だったのが、8回1死1塁フルカウントから二塁盗塁を試みた一
走の青木を余裕で刺殺し 三振ゲッツーを奪った場面です。 この試合では三振ゲッツーを
二つ取りました。打撃において結果を出さない彼を、野村監督が試合で使い続ける理由が
はっきりとわかりました。さすがに並外れた身体能力とセンスを兼ね備えているだけあって、
伊志嶺選手の順応力は予想以上でした。
打撃に関しては、 23日の中日戦までは大分戸惑いを感じている様子が伺えましたが、徐
々に適応していく感じも見受けられました。 そして25日のヤクルト戦では、 右中間に良い
当たりを飛ばし初安打は近いだろうと思っていました。 事実、翌日26日の横浜戦では、プ
ロ13打席目にしてようやくライト前にクリーンヒットを放ちました。打撃に関しては図抜けた
センスを持つ伊志嶺選手ですから、今後は結果を出し続けると思います。楽天はこれでキ
ャンプ・練習試合を全て終え、これからオープン戦に突入して行きます。と同時に、選手の
振り分けも厳しく行われて行きます。 この先も 伊志嶺選手が1軍に帯同し続けるかどうか
はわかりませんが、 この一ヶ月で成長した彼は、 充分に野村監督の眼鏡に叶ったと思い
ます。 開幕1軍入りするかどうかは別として、 今シーズンの彼の活躍がとても楽しみです。
------------------------------------------------------------------------