[沖尚vs普天間:沖尚・伊是名雄志は逆転の三塁打含む長打2本と活躍。]
プレイバック2007夏.10
優勝候補の沖縄尚学が終盤の逆転でシードの普天間を下す!
第89回全国高校野球選手権沖縄大会七日目の7月1日、 北谷公園野球場で行われ
た第3試合「沖縄尚学vs普天間」は、候補・沖縄尚学が終盤の逆転でシードの普天間
を下しました。
有力な優勝候補の一角・沖縄尚学は 大型左腕の好投手・井戸康太、春季大会4強で
今大会はシードの普天間が技巧派右腕・多和田真太郎。 両投手の先発で始まった試
合は、 強豪同士の対戦に相応しく最後まで目の離せない好勝負となりました。 先制し
たのは普天間。 打線好調の普天間は初回、沖尚・井戸の立ち上がりを攻め二本の長
打と四球で無死から2点を奪いました。 そこで沖尚は左腕の井戸をあきらめエースの
東浜にスイッチ。 その後 東浜は普天間打線に決定打を許さず味方の反撃を待ちます。
一方の普天間は先発・多和田から伊佐へ繋ぎ、 6回まで強打の沖尚打線を無得点に
抑えます。 ところが好投を続けていた伊佐が7回に捕まり1点を返されたところで、 普
天間は投手を交代。 そこで沖尚は代わったばかりの宮城の乱れに乗じ、伊是名の逆
転2点三塁打等で3点を追加「4-2」と試合を決定付けました。 屈指の強打線と層の厚
い投手陣を擁し 頂点を狙った普天間でしたが、 最後は沖縄尚学の地力の前に屈した
形となりました。 とは言え、エースの故障という危機の中で 優勝候補相手に一歩も引
かなかった普天間の戦いぶりは観る者の胸を熱くしました。沖縄尚学は、やはりロング
リリーフのエース・東浜の好投が結果的に勝利を呼び込む大きな要因となりました。
◇第89回全国高校野球選手権沖縄大会(七日目)
2007年7月1日(日)
▽2回戦(北谷公園野球場:第3試合)
普天間 200 000 000 - 2
沖 尚 000 000 40x - 4
(普)多和田、伊佐、宮城、比嘉慎 - 仲村
(沖)井戸、東浜 - 仲村
三塁打 - 山城、伊是名(沖)多和田(普)
二塁打 - 伊是名、与世山(沖)伊志嶺2、幸地(普)
春季県大会4強で今大会はシード校の普天間に対し、有力な優勝候補として呼び声
高い沖尚。強豪同士の試合は沖尚が大型左腕の井戸、普天間が多和田と共に好投
手同士の先発で始まりましたが、序盤から試合を優位に進めたのは普天間でした。
1回表の普天間は、 左越えの二塁打で出塁した先頭の伊志嶺が牽制ボークで三進
すると2番の幸地は四球を選び、いきなり無死13塁の好機を迎えました。そこで3番
の多和田は中越えに大きな2点適時三塁打を放ち、 普天間はノーアウトで鮮やかに
2点を先制しました。立ち上がり制球の定まらない沖尚先発の井戸は更に続く4番の
島袋にも四球を与え無死13塁となった所で、沖尚ベンチはたまらず井戸を諦めエー
スの東浜を投入。結果的にこの早めの決断が功を奏する形となりました。 ロングリリ
ーフの東浜は その後再三走者を背負うものの 安定感抜群の制球力と伸びのある直
球を武器に普天間打線に決定打を与えず味方の反撃を待ちます。エース・比嘉慎二
を故障で欠く普天間は、 先発の多和田が3回途中まで無失点で切り抜けると二番手
・伊佐にスイッチ。その伊佐もベンチの期待に応え6回まで強打の沖尚打線に得点を
許しませんでした。ところがその伊佐が、7回にとうとう捕まります。
7回裏の沖尚は、1死から我那覇が遊撃への安打で出塁すると、東浜が送って2死2
塁となった所で松島が中前に適時打を放ちようやく1点を返します。 更に次打者山城
に死球を与えたところで普天間ベンチは好投の伊佐に変えて宮城をマウンドに送りま
す。 ところがその宮城が交代直後に牽制悪送球で2死23塁と傷口を広げ、 そして3
番の伊是名に右越えの2点三塁打を浴び遂に逆転を許します。制球定まらない宮城
は次打者仲宗根に四球を与え2死13塁としたところで与世山の当りは遊撃後方にフ
ラリと落ちるテキサス安打となり三走生還、 駄目押し点を与え「4-2」と点差が広がり
ました。 普天間は8回表に1死から仲村が左前安打で出塁、更に犠打で2死2塁とし
反撃を試みましたが、決定打を奪うことは出来ませんでした。 8回裏には故障のエー
ス・比嘉慎二が登板。意地の投球で無失点に切り抜け最終回の攻撃に託しましたが、
結局9回表も沖尚・東浜が危なげなく三者凡退に抑え無念の涙を飲みました。
最後は 沖尚打線の地力が上回った形となりましたが、 やはり エース東浜の好投が
沖尚の大きな勝因と言えるでしょう。 初回2死からのロングリリーフで 最後まで強打
の普天間打線に 得点を許さなかった投球は 圧巻でした。 再三の走者を背負うもの
のここぞという時の投球は安心して観ていられ、 まったく危なげがありませんでした。
特に 右打者アウトローへの伸びのある直球と抜群の制球力は 2年生ながら図抜け
たものがありました。今大会シードで挑んだ普天間は2回戦で消えるにはあまりにも
惜しいチームでした。 伊志嶺・幸地・多和田・島袋・比嘉慎 と続く上位打線の破壊力
は沖縄屈指と言っても過言ではなく、センター中心に左中間・右中間に伸びて行く打
球は見事でした。 投手陣の層も厚く非常に戦力の充実していた普天間ですが、 つく
づく好投手のエース・比嘉慎の故障が悔やまれてなりません。とは言え、激しい気迫
で最後まで強豪相手に喰らい付いた普天間の戦いぶりには胸を打たれました。普通
公立校でありながら鍛え抜かれた闘志の野球は、久しぶりに高校野球の原点を思い
起こさせてくれました。
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